青い鳥の寓話と「新世紀オーディション」
新年の挨拶もそこそこに本題に入ります。
風のうわさによりますと新春恒例「ハロコン」中野サンプラザ公演におきまして、昨年12月に「モーニング娘。」に加入したばかりの新メンバー「加賀楓」「横山玲奈」の両名がいきなり即戦力クラスの大活躍だとか何とか、どうにも憎まれそうなニューフェイス状態のようです。
研修生歴の浅い「よこちゃん」はいざ知らず、そりゃ「かえでぃー」なら当然そうなるでしょうよ。加賀楓ですよかがかえで。何せ「か」が多いわけです。「か」が音楽用語で言うところの「三連符」みたいになってますからね。語感がもう「ガガガSP」のそれですよ。「か」で「が」を挟みこむ「サンドウィッチ伯爵」的発想と、その形状の「オレオ」感。「か」が「が」を両サイドから徹底マークするがごとき佇まい。いずれにせよ、長きに渡る「研修生」生活を脱して、ようやく加賀が輝かしい(五連符)表舞台に立ったわけです。
しかしながら「ダンスがキレキレで全く引けを取ってない」だの「手足が長くてスタイル抜群」だのといった巷に蔓延る「加賀評」に対しまして、何をいまさら驚いてんだよイロハのイの字じゃないあるまいしとね、普段から「研修生発表会」に足繁く通ってるような「先乗りスコアラー」気質の皆さんからすれば「そこからかよ!」といった思いが湧き上がったとて不思議じゃありません。
「前から加賀ちゃんには注目してたんだよね」程度ならまだしも、何だったら「やっと来てくれたか!」くらいの勢いで遅れてきた加賀待望論を振りかざす「秘めたる加賀さん出しますよ!」的状況を見るに及んで、いま一度「娘。13期オーディション」について検証しなければならないという無駄な使命感に突き動かされた次第です。
日課であるハンカチーフ片手にハロステ「加賀ちゃん13期サプライズ発表動画」をこっそり鑑賞する時間を少しばかり削りまして、そこら辺もう一度洗い直してみようじゃありませんか。
モーニング娘。'16 『新世紀』オーディション
そもそも「13期オーディション」の開催が発表されたのは丸1年前の新春「ハロコン」中野サンプラザ公演。わずか2日前に急転直下の卒業劇で「鞘師里保」がグループを後にしたばかりという、エースを失った、その傷もまだ癒えぬタイミングでの出来事でした。
そこから約1年の歳月を費やして行なわれたのが「新世紀オーディション」と言う名の「13期メンバーオーディション」となります。5月末にいったんは「該当者なし」という結果に終わりながらも、返す刀で「もういっちょ」とばかりに「再募集」をかけるほどの執念深さでもって、もう躍起になって「13期メンバー」を探しまくったわけです。
日本全国から名乗りを上げる「我こそは13期メンバーなり!」と息巻く歌自慢ダンス自慢の美少女たちを尻目に「あーでもない」「こーでもない」「モーニング娘。の色に合わない」と喧々諤々、夜が明けるまで「赤羽橋」の秘密の小部屋では、アップフロント上層部による時に胸ぐらつかみ合いも辞さない熱き議論が繰り広げられた事でしょう。しかし血眼になって探し求めた「13期メンバー」は一般参加者からは見つけられなかった。つまりは結局「ハロプロ研修生」からの昇格のみという結論に達したわけです。その辺りの実情を公式サイトではこのように説明しています。
前回のオーディション、そして今回の再募集でも可能性を秘めたたくさんの
才能に出会うことができましたが、惜しくも即メンバーを選ぶには至りませんでした。
結成20年目をむかえたモーニング娘。は歴史を重ねてきた分、近年新メンバーとして求められるものも、そのハードルが総合的に上がってきていることを感じています。
おいおいおいおい、ちょっと待ってくれ!モーニング娘。ってのは、そもそも「歌もダンスも未経験」みたいな素人が悪戦苦闘しながら 成長する「物語」を見せるところだろう?上がったハードルを飛び越える、その過程を見せてくれYO!!
そんな古き良き「合宿マニア」の声を知ってか知らずか、見たかった「物語」の舞台は「おへその国」に完全移行しましたと言わんばかりに、13期メンバー探しの旅は意外な結末を迎えるのでした。
研修生歴の浅い「よこちゃん」はいざ知らず、譜久村聖リーダーから名前を呼ばれた2人目の「13期メンバー」は4年もの「研修生活」に青春を投じた加賀楓。取り立てて「ハロプロ研修生」に興味の無い層ですら「かえでぃー」とくれば勝手知ったる昔ながらの顔なじみ。何せあの加賀ちゃんですもの、そら驚くわ。
つまりこれ。一年間費やして日本全国を探し回ったあげく、結局見つけられなかった、アレほど追い求め、探し求めていた「13期メンバー」だったけれど、よくよく考えてみたら、実はすぐ近くに居たんだよという「しあわせの青い鳥」の寓話を思い起こさせるような、そんな物語を見せられた気分です。あるいは南斗最後の将が実は「ユリア」だったみたいなね。もしくは頭に眼鏡を乗っけたまま「メガネメガネ」と部屋中探しまわってる「コボちゃん」的なアレだとか。
最後のやつはチョット違うような気もしますが、とにかく会場がどよめくくらい、この13期メンバー「加賀楓」には驚かされたわけです。前日に「加賀待望論」をBLOGに書き殴り、発表当日スカパーの生中継を見ながら「かえでぃ!」「かえでぃ!」と往年の大川慶次郎ばりに「ライアン!ライアン!」みたいになっていた俺ですら驚きましたもん「マジかよ山ちゃん!キレキレじゃん」とね。
合格者は高校生2人
研修生歴の浅い「よこちゃん」はいざ知らず、現行のハロプロ研修生にあって人気実力ともに上位に位置づけられていた加賀楓の「13期昇格」が何故それ程までに驚かれる事だったのか。これ「実力上位なら順当な結果じゃん」と普通に考えりゃそうなるのですが、そうじゃないところが「ハロプロ」を「ハロプロ」たらしめるファンキーな部分なわけで。そんな単純な話なら世話ねーよと、こうなるのです。
じゃあ「ハロヲタ諸氏」の事前予想は一体どうなってたのか?このあたり多少偏ったソースになりますが、気の合う仲間が集まってワイワイ語らう愉快な掲示板。俗世間で言う「狼」での13期メンバー発表直前「合格者予想オッズ」*1を取りあえず見てみましょう。
514 名前:名無し募集中。。。@無断転載は禁止[] 投稿日:2016/12/12(月) 18:00:09.59 0
最終オッズ(締め切り)川村 2.4
段原 3.1
吉田 3.5
西田 4.0
山﨑 4.5
桃姫 8.8
北川 10.5
野口 13.9
横山 15.3
高瀬 15.6
橋迫 16.0
米村 17.0
前田 18.5
小野 25.0
井上 27.5
金津 30.0
児玉 30.0
加賀 50.0
一岡 75.0
堀江 75.0
マジマジ眺めてみると、結果が判明した今となっては見るも無残な感じになりますが、歴史的資料として凄く価値があると思うんですよ。こういうの実は。
こういったスレで喧々諤々やってるような連中ってのは、それなりに知識と経験を持ち合わせた「ハロプロ研修生」に一家言持ってたりするような手合いですから、当然「娘。オーディション」に関する過去のデータやら最近の傾向も熟知したうえで、このような下馬評になったと見るわけです。確かに「さもありなん」な見解ですよこれ。
しかし実際に出た「正解」は、これまでの傾向や慣例と見られていた条件をことごとく打ち破るものでした。つまり。
- 合格者が2人
- 合格者が2人とも高校生
- 合格者が2人とも「首都圏」出身者
- 羽賀がいるのに加賀が加入(研修生キャリアのねじれ現象発生)
まず、モーニング娘。の歴史において「2人加入」というのは今回が初のケースでした。これまでは単独加入(3期、7期、11期)、3人加入(2期、8期)、4人加入(4期、5期、6期、9期、10期、12期)しかありません。なお変則加入パターンとして6期(1+3)や8期(1+2)というケースもありましたが、あくまでも同期2人は初なのです。
最年少の羽賀ちゃんが現在中学3年生という事で、この春からは2011年の「9期加入」以来絶やすことなく守ってきた「義務教育メンバー」の存在が消滅します。13期合格の最短距離にあると見られていた「研修生26期」の中にあって「横山玲奈」がさほど上位に位置づけられていないのも「高校1年生」という年齢的理由による所が大きかったと思われます。じゃあ「高2」の川村はどうなんだって話は次の「地域性」にあると。
段原瑠々(広島県出身)や川村文乃(高知県出身)が有力候補に挙げられているように、全国規模でのホールコンサートツアーが活動の主軸をなす「モーニング娘。」において「ご当地枠」「凱旋コンサート」など興行的な側面から「地方出身者」有利と見る向きもありました。実際「鞘師」無きあとの広島や、初の四国出身メンバー誕生というのは魅力的に映ります。しかしながら、見た目は別にして合格者は2人ともバリバリの都会っ子でした。
「13期はハロプロ研修生からの昇格のみ」譜久村聖ちゃんから教えてもらった、こんな特ダネ情報を掴んでおきながら、なぜ人気実力ともに研修生上位にあった「かえでぃー」が有力候補どころか、狼の直前オッズで「50倍」なんてハナから「蚊帳の外」みたいな扱いになっていたのか。つまりこれ過去の昇格人事において「研修生時代の先輩後輩関係が逆転」したケースが一度も無かった事に起因するのですが、何というかもっと根っこの部分で、加賀にとって「その季節」はとうの昔に過ぎ去ったものと見られていたんですね。松山千春先生や℃-ute先輩が教えてくれたように、季節は巡ると知りながら。
「加賀ちゃんは永遠の研修生かと思ってた。あるなら『かえでファクトリー』かと
このMCまことのコメントって割りと加賀の立たされていたポジションを冷静にとらえていて、現実問題として残されたデビューへの道は「かえでファミリー」つまり「新ユニットのリーダーポジション」ぐらいしか思いつかない状況にありました。実際これまでに「高校2年生」で追加メンバーとして昇格した事例はありません。*2それだけに、めっちゃ関係者でありながらBSスカパーの生中継で初めて13期メンバーを知ったという、まこと自身が「まさかの加賀ちゃん!」と驚いたわけです。
しかしながら、今にして思うと関係各位より結構なヒント、およびスケジュール的な予兆がそこかしこにバラ撒かれておりました。イベントで佐藤優樹が口を滑らせた「13期はみんながびっくりするような人」発言にしても、よくよく考えてみたら「びっくりする」に当てはまる研修生なんてそうはいないわけで。確かに「生田」を除いて全員びっくりしてましたもんね。帯同研修生との記念撮影等、℃-uteコン絡みでの矢島舞美の言動はいくら「加賀ちゃんの件」が嬉しかったからといってやりすぎです。やりすぎて逆に「これ辞めんじゃないか」という変な不安を煽るレベルでした。いずれにせよ、発表前日のブログで広瀬彩海が「お前ら行間読めよ」とばかりに猛然と「答え」を発信しまくったところで、予想オッズが「50倍」を叩き出すほどの、それぐらい「無い」と思われていたわけです。
横山玲奈の発見
横山玲奈の証言によれば、大方の予想通り1回目の「新世紀オーディション」に応募して、3次審査まで進出するも落選。その後「ハロプロ研修生」に勧誘されるというお馴染みのシステムを経て、晴れて8月に「26期」としてハロプロ研修生に加入。9月の「研修生発表会」に先駆けて公式サイトにて「名前」が公表されるという流れだったようです。そこで有名ロコドル「はちきんガールズ」を6月に脱退したばかりの「川村文乃」の名前もあったもんだから一部で騒然となりました。当然この時点では「横山玲奈」を知る者も無く「はちきん」が話題独占状態です。そんな空気を一変させたのが、何故か「新人研修生広報担当」みたいな事をさせられていた「つばきファクトリー」リーダー山岸理子のBLOGでした。
ここで山岸が「新人研修生」との2ショット画像を公開するという好プレーを見せ、ついに「26期」の全貌が明らかになります。後の13期メンバー「横山玲奈」が初めて姿を現した瞬間でした。
ちゃ、ちゃゆ? 今わりと笑顔が「亀井絵里」に似てるとか言われがちな「よこよこ」ですが、ファーストインプレッションでは、むしろ初期「道重」といった風貌に見えます。いずれにせよ「良い小学生が入ってきたなー」と歓喜にむせびかけたところで、よくよく見たら「りこりこ」による紹介文はこうなってる。高校一年生の横山玲奈ちゃん!!♡
「え!?横山さん、高校生かいなー!」
13期発表前日に大阪で行われた「研修生発表会」MCコーナーでのやり取りの中で、横山が中1の時にバンドを組もうとしたけどギターを壊してしまい諦めたみたいな話の流れから、完全に横山を「中1」だと勘違いしてしまい、そのまま話を進めようとした「まこと」に対して、きっぱりと「わたし今、高校1年生です」と言い放った横山さん。それを受けての「まこと」が発した上記のセリフそのままに、こりゃベビーフェイスにも程があるよと。
いよいよ「26期メンバー」初お披露目となる、9月の「研修生発表会」には大阪昼公演1回のみの参戦となりました。今にして振り返ってみると、自分の中で「横山玲奈」が娘。13期メンバーになるなんて発想に至らなかった。それに対するアンサーがそこにありました。
かつての「浅倉、小野田」のように初回からガンガン本編に参加しまくるわけでなく、本格参戦は「12月」までお待ちくださいとでも言うように、見せ場といえばライブ中盤での「新人紹介コーナー」くらいのもんでした。当然これ、ここが勝負とばかりに目を皿のようにして見たわけです。とにかく東名阪通して「まこと」が最年少「橋迫鈴ちゃん」の身長体重を聞きまくるという「こだわり」を見せてしまい、他の新人研修生が特に目立つ事も無かったのですが、実際初めてステージ上での姿を見て一番印象深かったのが実は「横山さん」だったんですよ。ここだけの話。
まことが橋迫に「こないだの東京公演の時よりも身長伸びたの?」とか「おじいちゃんと孫」的な対話を繰り返している隙に、ここが勝負とばかりマジマジと見ていたわけです。そこでの「よこちゃん」の印象ですが、確かにその美少女ぶりは噂に違わぬものながら、往年の「いなばっちょ」を彷彿とさせる「御御足」のコンパクトぶりに思わず「はらまー」となってしまったわけですね。何というかこの「ロシアの民芸品」みたいなフォルムですよ。確かにこれはこれで可愛らしいんだけれども。この唸るようなマスコット体型はきっと「カントリー・ガールズ」に違いあるまい。時期を見て「カントリー新メンバー」に昇格するもんだと完全に決めてかかっちゃった。よくよく考えてみたら「牧野真莉愛」あたりのインパクトに誤魔化されて見落としがちですが「モーニング娘。」だって結構な「マスコット体型揃い」ですもんね。何事も決めつけてはいけないのです。そんな当たり前のことを気付かせてくれた「よこちゃん」には感謝の気持ちしかありません。
幻の13期オーディション合宿
まじめな話になりますが、結果的に「新世紀オーディション」唯一の合格者となった「横山玲奈」が、そのまま「即合格」とはならずに、いったん「ハロプロ研修生」を経由させてから「ハロプロ研修生」からの昇格というかたちで「モーニング娘。13期メンバー」になった点。このあたりに「ハロプロの今」が見え隠れするわけです。
一つの要因として「モーニング娘。」に限らず、近年の「ハロプロ」全体におけるパフォーマンス的特徴が関係しているように思うのです。公式サイトで13期メンバーが「ハロプロ研修生」からの昇格のみで、一般参加者からの合格者無しだった事に対する弁明がありましたが、特に以下の部分。
近年新メンバーとして求められるものも、そのハードルが総合的に上がってきている
これ結構 、なるほどと思う部分なんですね。横山玲奈は長年「ジャズダンス」を習ってたわけですから全くの素人というわけじゃない。「キャリア4年」の加賀楓と並んで「13期メンバー」に選ばれたわけですから、能力的には勿論見るべきものがあったわけです。現在すでに「ハロコン」なんかで「モーニング娘。'17」の一員としてステージにも立っており、あまつさえ「即戦力」なんて評価まで受けている。これ一見「研修期間」なんて必要なかったやん!と思いがちなのですが。ジャズダンサー時代の横山がやって来た事と「ハロプロ」がステージ上でやってる事に大きな違いがあるわけです。
それはつまり、ダンスしながらの「フォーメーションチェンジ」がやたら頻繁で複雑な点にあると、このように思うのです。懐かしの「GREEN ROOM」なんかでも、やたら「まき先生」が場位置が何番だの「田口何列目だよ!」だの「背伸び踊れる人ーー」だのやってたじゃないですか。その辺の「ハロプロ仕様」のダンス技術を身につけるのには「研修生発表会」なんて本番のステージまで経験できる「ハロプロ研修生」に一旦放り込むのが一番効率的なんですね。狭いステージを縫うように「場所移動」してますもん「研修生発表会」で。
それはそれとして、やはり「娘。オーディション」を開催する事によって、より効率よく「明日のハロプロ予備軍」を確保できるという部分が大きいと。むしろそれが本来の目的ぐらいになってしまっている。これが本題中の本題。つまり本題なのです。
いわば内定者である「よこよこ」をキッチリ捕獲しておきながら「もういっちょ!」とばかりにシレッと「再募集」をかけて2回目の「新世紀オーディション」を敢行しているという、実にしたたかな立ち振舞い。長い間「ショービジネス界」の荒波を乗り越え、時に心無いファンから「クソ事務所」などと罵声を浴びながらも20年に渡り「ハロプロ」を続けて来ただけの事はあります。
実際この2回目のオーディションでも「はちきん」に続き、ローカルアイドル界隈でブイブイいわしてきた「腕におぼえあり」みたいな連中が殺到してきたなんて話もあります。昨年12月の「研修生発表会」では父兄同伴で見学に訪れたと思しき「27期」の目撃情報も多数あり、すでに一部の「先乗りスコアラー」からは「い◯たん」だの「み◯み」だのといった具体名まで飛び交う始末。つまり、今からもう3月の「研修生発表会」が楽しみで仕方がないわけです。
横山自身の証言から、1回目の「新世紀オーディション」3次審査で落選している事が判明しています。つまり1回目のオーディションは3次審査までしか行なわれておらず「最終合宿審査」が行なわれた様子もありません。続けて行われた2回目の「新世紀オーディション」も、おそらく3次審査までは行い、その時点で「有望な候補者」をゴッソリといつもの手口で「ハロプロ研修生」に勧誘したものと見られます。
数々の慣例が破られた「13期オーディション」ですが、何につけても「娘。オーディション」の風物詩として続けられてきた「最終合宿審査」が結局のところ敢行されなかった。ついに「効率化」の波がこんなところまで押し寄せてきたのかという思いなのです。
この話、まだまだ続くのですが、さすがに正月がどうとか冒頭で書いてるのに、いつまでもダラダラ続けるわけにはいきません。なので一旦「該当者なし」という事でここで終わりまして。返す刀で「もういっちょ!」とばかりに「再募集」に続くという塩梅でお願いします。
*1:娘。13期はもう川村と山崎で決まりみたいな空気だけどさ ★十三人目:http://hanabi.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1481013696/
娘。13期発表前夜の大国町
先月の勤労感謝の日、大阪オリックス劇場で行なわれた「モーニング娘。’16コンサートツアー秋 MY VISION」昼公演においてリーダー譜久村聖ちゃんから「娘。13期メンバーオーディション」に関する重大な情報がリークされました。皆さんご承知の通り要約すると以下3点。
実はこの発表、大阪で行われた今ツアー4公演のうち偶然にも唯一見に行った回での出来事でした。ふくちゃんが何か「お知らせ」みたいな事を話し出した時には、まさかそんな重要な発表とはつゆ知らず「新しい写真集が出ます!」とか、どうせそんな事だろうと「水着でフクムラダッシュしてます!」とかだったらDVD購入もやむ無し。などと呑気に構えていたわけです。
余りに不意を突かれたもんで「え!ここで発表すんの?」と勘違いしてテレビカメラ*1をキョロキョロ探してみたり、ふくちゃんの「○○降りといで!」切っ掛けに新メンバーが登場するまで期待してハラハラする始末。欲張りすぎて完全に冷静さを欠いてしまいました。それでも「割とデカイ」発表だったと今更ながら思うわけです。
当然この「13期メンバーは研修生からのみ」という情報は瞬く間にネット中を駆け巡り、アチラコチラで「合格者は誰なのか」と「ハロプロ研修生」を俎上に13期メンバー大予想大会が展開される事態を招きました。
いっぽうで「一般応募からは該当者無し」という結果に対する不満やら「ハロプロ研修生」を経由しないと「ハロプロ」に入る事すらままならないという、ここ最近の傾向に対する否定的意見も多く散見されました。
このあたりのフォローは公式サイトにて以下のように説明がなされます。
前回のオーディション、そして今回の再募集でも可能性を秘めたたくさんの
才能に出会うことができましたが、惜しくも即メンバーを選ぶには至りませんでした。
結成20年目をむかえたモーニング娘。は歴史を重ねてきた分、近年新メンバーとして求められるものも、そのハードルが総合的に上がってきていることを感じています。
たしかに嘗ての「ASAYAN」や、テレ東の「オーデ特番」なんかで展開された「娘。オーディション」ならでは醍醐味や、歌もダンスも未経験みたいな素人あがりの成長物語を見せる事もなしに、過程をすっ飛ばしていきなり「研修生から選ばれました」は如何なもんかという意見もわかります。
しかし、安倍なつみが北海道の田舎街で「ASAYAN」に出るしか歌手になる方法がないとか思っていた時代ははるか昔の出来事で、久住小春にしろ高橋愛にしろ「片田舎」で僅かな情報を頼りに「アイドル」や「芸能人」の道筋を模索したような時代はとうの昔に過ぎ去りました。
特に「AKB」の台頭や「あまちゃん」ブーム「アイドル戦国時代」なんて言葉を目にするようになって以降、歌手やアイドルに憧れを持つ「予備軍」ならば幼少期から地元のスクールやら地方芸能プロダクションに入って「ロコドル」まがいの活動を経験するなんてのも自然の流れというもので、逆に「芸能人志向」「アイドル志向」を持ちながら「歌もダンスも未経験」なんてケースは稀じゃないでしょうか。今「アイドル」になりたいと思ったら余程のことが無い限りなれちゃうわけですよ。名乗るだけならいくらでも出来ちゃう。アイドルの敷居が嘗て無いほど低い時代と言えます。
そんな時代に「SINCE 1998」を掲げる老舗ブランド「ハロプロ」もまた時代の流れとともに変化を余儀なくされたと、こう思うわけです。
「ハロプロエッグ」「ハロプロ研修生」と続く研修機関の歴史において「昇格」という形で「モーニング娘。」メンバーに選ばれたのは、9期オーディションでの現リーダー「譜久村聖」が最初のケースでした。8期の「リンリン」に関しては「2007年冬のハロコン」にハロプロエッグと共に参加していたのは、あくまでも「娘。入り」を念頭に置いた「最終テスト」が主目的だったという見解から「ハロプロエッグ」からの昇格とは考えていません。
この後に続く「10期」「11期」は「エッグ・研修生」も一般参加者に混じってオーディション合宿に参加するという形式を取り「10期の工藤」「11期の小田」がモーニング娘。メンバーとなりましたが、11期オーディションは結果的に「ハロプロ研修生」だった「小田さくら」のみが合格して「一般参加者」からの合格者は無しという今回と同じケースに終わりました。この11期オーディション最終合宿参加者から「ハロプロ研修生」入りした研修生17期の牧野真莉愛、岸本ゆめの
と、ここまで書いて時間切れです。今からZepp Nambaで行われる「ハロプロ研修生発表会」を見に行かねばなりません。明日の日本武道館で発表される「13期メンバー」が果たして誰なのか、その答えが見つかるのか、続きは後編で。
「大国町」から最寄りの駅に、PITAPAを駆使して恥ずかしながら帰ってまいりました。
いやー良かった。特に「つばきファクトリー」の「付き合ってるのに片思い」が最高でした。とりわけ「さおりん」こと小野田紗栞の「ね、良いでしょう?」とか痺れましたよね。とか、言ってる場合じゃありません。そんな時間は無いのです。13期は果たして誰なのかという話です。
昼、夜ともに前方ではあるものの下手側「まことポジション」だったので全体を隈無く見れたとは言い難いです。昼夜どちらか2階ファミリー席でも良かったかも知れません。まさか2階の通路にメンバーが降臨するとは、そういった意味でもこれは不覚でした。
時間もないのでザックリいきます。
結局ね、今のモーニング娘。に入って大きな起爆剤たり得る人選じゃなきゃ意味ないと思うわけです。正直言って人数的に現メンバー11人でも多いくらいなのに、そこに入れるからには「現体制を大きく変える」くらいの新メンバーじゃないと。イタズラに数だけ増やしても「キンブレ屋」が困るだけです。
早い話。この子がはいりそうだ!と思わせる、ずば抜けて何か別次元のオーラを放つような子はいませんでした。ただ、この子が入ったなら現体制のモーニング娘。が大きく変わるんじゃないかと。そう思わせる子はいました。
それは、
加賀楓さんです。
確かに今日、まことに「かえでぃーパーマかけた?」とか質問されてしまうくらいクリンクリンにカールを巻いた「おばさんパーマ」みたいな髪型してましたけども。ただそんな愛嬌ある丸顔とは裏腹に身体のフォルムの格好良さ、シルエットの美しさたるや半端なかった。ダンスのキレ、歌唱の安定も申し分ない。今一番「モーニング娘。」に入ったら面白い存在はズバリ「加賀楓」さんです。
確かにこれまでの「研修生から昇格」パターンを鑑みると12期の羽賀朱音より研修生歴の長い「かえでぃー」の目は無いに等しいと言えます。あるとしても「同期まで」で「研修生時代の先輩」が後輩として加入した例はありません。
だからこそ面白いんじゃないですか。
6期の「藤本美貴」的な扱いで、期では後輩だけど「同期も同然」くらいの存在として堂々としておけば良いんですよ。加賀なら全然OKです。羽賀に先輩面されようもんなら腹肉掴んで引きずり回したったら良いんですよ。そもそも「あかねちん」に「おへその国からこんにちは」のダンスを教えてあげたのは加賀ちゃんじゃないですか!
真面目な話になりますが、今年の春にリリースされたモーニング娘。’16の楽曲「泡沫サタデーナイト!」はアレンジ含め最高の素材を与えてもらったと思うわけですよ。これ久々に世間に打って出れるやつ来たなと。でも、そうはならなかった。
今年の春の娘コンで実際に「泡沫サタデーナイト!」を生で見て、何となく答えは見つかりました。ズバリ「歌唱に迫力がなかった」のです。「歌唱に余裕がなかった」とも言えます。この曲のポテンシャルを100パーセント引き出せていないと感じたのです。
今、娘。に必要な存在を「ハロプロ研修生」から一人だけ選ぶとしたら「かえでぃー」を置いてほかにありません。加賀楓でファイナルアンサーです。
と、ここで終われば綺麗だったのですが、
現実問題として「娘メンバー」によるリークやら、さまざまな状況証拠から「単独加入」ではなく「複数加入」だとか、羽賀ちゃんより年下であるとか、さまざまな情報を踏まえまして、一応「あやしい」と感じたメンバーにも熱視線を浴びせて来たので報告がてら。色が合うという点で「モーニング娘。」っぽいと感じたのは以下の3名。
- 山﨑夢羽
- 川村文乃
- 金津美月
時間がないので詳細は避けますが、川村さんの歌声があんなに可愛らしい感じだったなんて知らなかったよ。金津は凄く目を引きました、見ていて面白い。「ゆはね」は精悍な顔つきしてました。年齢的にまだまだ背が伸びそう。とか寸評してる場合じゃない。時間がないのです。あの頃の「はまちゃん」よりも時間がない!
あくまでも「モーニング娘。」に入って一番面白くなるのは「加賀楓」という結論で、このエントリーを閉めさせていただきます。明日のスカパーの録画予約ボタンを「スイッチON!」してスヤスヤと眠りに付くとしましょう。
*1:ハロ!ステカメラしかありませんでした。
宝ヶ池の「恋はマグネット」
記憶が新鮮なうちに書いときます。
「カントリー・ガールズライブツアー2016春夏」こちらにおじゃまして来ました。*1
今年に入ってからは「社会の歯車的事情」で思うような現場参戦もままならず、年に一度の中野詣で*2である「ハロプロ研修生春の公開実力診断テスト」すら断念せざるを得ないという地獄の苦しみも味わいました。一時期は自暴自棄になってしまい、飲めない酒を浴びるように飲んでみたり「つばきファクトリー」関連のDVDをヤフオクで落としまくってみたりと荒れた生活に身を落としたものでしたが、何も獲って食われるわけじゃなし、ヌーの大群に囲まれて全身ベロンベロンに舐め回される事を思えば取るに足らない瑣末な話と、ドーピング気味にポジティブ思考をアクセルベタ踏みフル回転すればこれ、不思議なもので幾分気持ちも安らいだ次第です。
とか、そんな魂の遍歴なんかはどうでもよくて、カントリーのライブに行ってきたという話です。
「気絶」大阪公演中止と「いなばっちょ」の離脱
暗闇に射す一条の光のごとく、今年上半期最大のお楽しみとして今や遅しと待ちわびていたのが、カントリー・ガールズ主演ミュージカル演劇女子部「気絶するほど恋してる!」大阪公演だったわけですが、事情通の皆様ならすでにご承知の通り、このような事態になってしまいました。
【お知らせ】演劇女子部「気絶するほど愛してる!」5月28日(土)・29日(日) 大阪公演の「公演中止」と「本編上映会」についてのお知らせは特設サイトをご覧下さい。また払い戻しに関して・本編上映会に関しての詳細は後日お知らせ致します。https://t.co/MLf1wnvZPz
— 演劇女子部 - 劇女 (@_gekijyo) 2016年4月28日
何せ「公演中止」ですからね、異常事態なわけです。一人や二人欠場したところで何食わぬ顔でシレッと強行するのが銭ゲバアップフロントクオリティだと思っていましたが、ライブと違ってお芝居となるとそうもいかない。しかも、このお芝居における中心的人物、主役である「寛子」役を演じていた稲場愛香の活動休止にともなう緊急処置となれば、さすがに「キソラ」で代役というわけにもいきません。
小関舞の「声帯結節」、山木さんの「マイコプラズマ感染症」、嗣永PMの「声帯ポリープ」、森戸知沙希の「赤面症」など、これまでも病気が理由でイベントやライブ活動に制限がかかる事はあったものの、今回の稲場愛香のように「喘息再発による治療専念」という復帰時期がいつになるやらわからない重い事態ではありませんでした。それだけに過去の事例と照らしあわせて不穏な憶測を呼び込みがち、ビクビクしがちではあるのですが、現在更新された最後のブログ記事を信じて彼女の復帰を待つよりほかないという状況なのです。
稲ばっちょに関しては「マッシ」やなんかと一緒にハロプロ研修生19期としてお披露目された頃からは想像だにしなかった「ハロプロミュージカルの主役」抜擢という、まさに赤羽橋ドリームを体現したような立身出世の人という印象が強くあります。
研修生当時から噂を聞きつけたハロプロ正規メンバーの耳目を集めるほどの「ダンス」巧者ぶりを発揮していたとはいえ、はっきり言ってしまえばスタイルが良いわけでも顔面偏差値が高いわけでも歌が飛び抜けて上手いわけでもない、一見ただの「雪見だいふく」に過ぎなかったわけです。しかし、それを補って余りあるほどの「声の可愛さ」だったり「表情の上手さ」だったり、男心をくすぐる「アザ可愛いらしさ」はもちろんの事、時に道化も演じられるユニークな一面も合わせ持ち、何より人を惹きつける「愛嬌」に秀でていました。最近のアイドルとしては決して若くない年齢でのカントリー・ガールズメジャーデビューから今日まで、近年稀に見る脅威の伸び率を見せたのが稲場愛香という人だったと、こう思うわけです。
その類まれなる「タレント性」のみならず「歌唱面」での明らかな成長ぶりや、自炊による徹底した体重管理によって適度な「だいふく」感を残しつつ以前と比べて幾分すっきりしたスタイルを維持するなど、本人の向上心とたゆまぬ努力が実を結んでの(カントリーのお家事情的な問題や演技力的な問題はあるにせよ)ミュージカル主演抜擢だったと思うわけですね。一概に言えなくとも、やはりお芝居の主役というはグループのエース的立場の人間がやるもので、それがハローにおける昔からの習わし。そういう意味では色々あってエース不在でここまでやって来たカントリーにとって、ついに来た「ばっちょエース時代」の到来を思わせるエポックな出来事と言えました。
何というか割りとアイドルグループにおけるメンバーの立ち位置って「ハロプロ」に限らず最初の段階であらかた決まってるようなところがあるじゃないですか。にも関わらず、かつて「9期オーディション」で勝者と敗者に分かれた鞘師里保を「ハロステダンス部」でセンターの座から引きずり下ろしたり、カントリー・ガールズ結成当初には考えられなかった今回のミュージカル主役抜擢だったり、次々とその常識を覆していったところが「ばっちょ」の凄さであり、後進にも希望を抱かせるような存在にまで上り詰めたという思いを強く抱いていたわけです。
2014年の「春の公開実力診断テスト」稲場愛香はフリフリ衣装のアイドル歌唱でスマイレージの「スキちゃん」を歌いました。審査員「みつばちまき先生」からは「もう高校2年生になるんで…、可愛いのはずっと見てきたから、ちょっとワタシ的にはカッコ良いの見たかったんだなー」という苦言が呈せられます。当然これ「まき先生」からすればダンスの実力を見てほしいし、そのカッコ良さも知ってもらいたいという親心から出た発言なのでしょう。
しかし、あえて得意のダンスは封印し、カッコ良さよりも可愛らしさに重点を置いたパフォーマンスを見せる事によって「ダンスだけじゃない稲場愛香の新たな魅力」を広く内外にアピールする事に成功したように思うのです。あれで山ちゃんがアップフロント首脳陣が「僕は稲場愛香ちゃん!」となったかどうかは知りませんが、結果的にその年の秋に「カントリー・ガールズ」は始動し、そのメンバーに稲場愛香は選ばれました。
9期オーディション3次審査落選。地元北海道のローカルグループ「PEACEFUL」*3としての活動と解散。ハロプロが地方在住者に大きく門戸を開いた2013年に北海道研修生第1号としてハロプロ研修生に加入。そこから一年余りの研修期間を経てようやく辿り着いたこのロングアンドワインディングロード。自分自身でアイドルの道を切り開いてきた、そんな人物であり、これからもそうであって欲しいと心から願っています。
本来ならばこの「気絶するほど愛してる」大阪公演を経て、返す刀で始まる予定だったのが「カントリー・ガールズライブツアー2016春夏」と、こういう事だったわけですが、その背景をサラリと振り返るつもりが薄々お気づきのとおり、このように「いなばっちょ」への熱き思いのたけを長々と書いてしまうという事態に陥ってしまいました。
さて、そんな「ばっちょ」への思いを胸に、ようやく本題に入ります。
京都市営地下鉄「国際会館駅」
今、チケットの半券を確認したので間違いありません。2016年6月19日(日曜日)に行われた「カントリー・ガールズライブツアー2016春夏」京都FANJ夜公演、これを見てきました。この京都FANJなるライブハウス、京都市内でも北の果て、地下鉄の終着駅である「国際会館」が最寄りの駅となっています。だからと言って「国際会館」でカントリー・ガールズがライブしたわけではありませんよ。それはまだまだ先のお話です。
ちなみに「国際会館」こと「国立京都国際会館」ってのは、地球温暖化対策として二酸化炭素などの温室効果ガス排出量削減目標なんかを取り決めた、あの「京都議定書」が採択された事で有名な場所なんですね。ご存じ無いかもですが。で、本来そんな「国際会議」が行われるような場所ですから、何がしかの国際会議に出るような立場の人間でもない一介の小市民にとっては一生行くことの無い、一生降り立つことなど無いはずの駅だったわけですよ「国際会館」なんて駅は。
にも関わらず昨年の秋から、またまた何回目よ何回目という勢いで通っちゃってる。何故なれば、そこに京都FANJがあるからです。ざっと半券を調べたところ昨年11月のJuice=Juice、今年5月のこぶしファクトリーに続いて今回で3回目でした。すぐそこに比叡山がそびえ立っているような、そんなロケーションのライブハウスです。かつて僧兵がウロウロしてたような場所で「やなみん」が歌い踊るわけですからねこれ。
ホールコン主体のモーニング娘。や℃-ute、ゼップ椅子ありの「研修生発表会」を除けば、ここ数年の「ナルチカ路線」によりライブハウスでのオールスタンディング形式がすっかり定着してしまった感のあるハロプログループの単独ライブ公演。ステージの高さや客席の構造などは各ライブハウスによって当然異なるわけで、おのずと見えやすい見えづらいなんかの優劣がついてくる。ライブハウス公演の何が一番恐ろしいかって整理番号によってはステージが全然見えないなんて事態も起こりえる、そういうヤバさがあるわけです。
メンバーの身長が軒並み低いことでお馴染みの「カントリー・ガールズ」ですが、今回のライブハウスツアーからは新メンバー「梁川奈々美」「船木結」も加わって、その傾向に一層拍車がかかるという始末。オールスタンディング向きとはお世辞にも言いがたいグループなわけですよ。船木が全く見えないなんて事にでもなれば、そりゃもう一生の不覚。
この「ステージが見えづらい」という部分がネックになってオールスタンディング公演を回避する向きもあるかと思うんですが、ここ数年の「ナルチカ路線」を経験してたどり着いた結論としましては、やはりこれ身も蓋もない話「整理番号」が全てであるという事です。そりゃ若い番号に越したことはありませんが、各ライブハウスによって「満足が得られる景観」を確保出来る「整理番号」もまた違ってくる。これはステージの高さだったり、客席の構造がフラットなのか傾斜や段差があるのかによっても当然変わってきますし、もっと言えば自分自身の身長やシークレットブーツの高さ、動きや体のデカイ奴が視界に入り込まないようなポジショニングの読み、挙動のおかしな奴から距離を取る危機回避能力の高さなんかも要します。つまり、同じ整理番号100番であったとしても「奈良ネバーランド」と「梅田クラブクワトロ」では天と地ほどにお客様満足度も変わってくる。各ライブハウスによって整理番号の「損益分岐点」みたいなものも違ってくるわけです。そこの見極めが重要となってくる。
アイスは食べても食べ過ぎない!
さて、ようやく本題に入ります。そういったオールスタンディング公演のノウハウを駆使すれば、過去2回も入ったことのある「京都FANJ」ですから予習はバッチリ出来ている。ここはステージの高さは普通なのですが、客席がフラットでだだっ広く整理番号によってはかなり見えづらい事になる。ふな汁顔面浴び放題の良番とまでは行きませんが、ヤフオク的なやつで熟考の末に叩き落とした整理番号は概ね良いラインを突く、まずまずの視界を確保するものでした。おまけにメンバーが回替わりでソロトークを披露する「MCコーナー」の担当が森戸ちゃんというラッキーにも恵まれ「アイスを食べ過ぎたら肌が荒れちゃったんだよ!」みたいな話を延々聞かされた挙句、最後には何故か「アイスは食べても食べ過ぎない!」という標語を「森戸党決起集会」さながらヲタ全員が復唱させられるという素敵なアクシデントにも見舞われました。つまりこの、端的に言うと悦楽の時を過ごすことになったのです。
狼の一人スレからお借りしたセットリストはこちら
01.恋人は心の応援団
02.キスより先にできること
MC 自己紹介
03.新しい恋の初デート
04.恋はマグネット
05.Bye Bye 最後の夜
06.わかっているのにごめんね
MC
07.VIVA!! 薔薇色の人生
08.リズムが呼んでいるぞ!
MC
09.アンブレラ 嗣永・森戸
10.アイスクリームとMyプリン 山木・小関・梁川
11.ガラスのパンプス 山木・森戸・船木
12.大人になるって難しい 嗣永・小関・梁川・船木
13.グルグルJUMP
MC
コール&レスポンス
14.妄想リハーサル
15.ブギウギLOVE
16.浮気なハニーパイ
17.恋泥棒
18.革命チックKISS
アンコール
19.ランラルン~あなたに夢中なの~
20.愛おしくってごめんね
昨年の秋冬ツアーでやっていた「二人の北海道」「女の子の取り調べタイム♥」という旧カントリー娘。時代の2曲がセットリストから外れてしまったのは個人的に凄く残念だったのですが、その分「梁川・船木」加入後の新曲が増え「カントリー・ガールズ」オリジナル楽曲も随分と多くなってきました。これはもう「アイドルもういっちょ!」の黒メガネ氏の言うとおり「アルバムまったなし!」「浮気なハニーパイ最高!」という状況のようです。
ツアーも終盤戦という事で、そんな新曲にもバッチリ対応してコールやフリコピなんかも完璧に仕上がっており、その様子からは相当数のリピーターが詰めかけている事も窺われました。客席の乗りとして感じた事は、とにかく「ハローのスタンディング」は踊りたくて仕方がない「フリコピ中毒」みたいな人たちが少なからずいるという事です。確実に家で練習してきてるレベルのやつです。「グルグルジャンプ」のサビで回りだした奴を見た時は懐かしさとともに「お前どんだけスペース確保してんだよ」という思いが一瞬頭をよぎったりもしましたが、日常から開放されカントリーのライブを心の底からエンジョイする「おっさんの弾ける笑顔」を見てしまうと、これもう、なんだかんだ許してしまうのでした。
山木さん率いるセクシー小隊による「アイスクリームとMyプリン」やら、モモイレージの「大人になるって難しい」といった味な選曲のシャッフルコーナーも印象深く、会場の盛り上がりという点では「グルグルジャンプ」も確かに凄い。時に「オイ!オイ!」時に「フー!フー!」時に「フワフワ!」と会場に木霊するヲタコールの嵐。会場が一体となって楽曲を盛り上げる、積極的にヲタが楽曲に絡んでいく、楽曲にヲタの息吹が吹き込まれる事によって新たな魅力が引き出され、そこで初めて「ハロプロ楽曲」として完成の域に達するような所があったり無かったりする。これもまたライブならではの醍醐味といえるでしょう。
そんな中、ヲタの介在を一切許すことなく超然と異彩を放っていたのが「恋はマグネット」という曲でした。
視線そらして また追いかけて 恋はマグネット
今更ながらの話ですが、オールディーズやロカビリーといった古き良きアメリカンポップスの流れを汲むカントリー・ガールズ楽曲群にあって、発表当初から「90年代のアニメのエンディング風味」という世代的にピンとこなければ雲を掴むような評価のされ方をした、あの「恋はマグネット」の話です。
ネットやなんかでは散々見聞きしていたものの「恋はマグネット」を実際に生で見たのはこの日が初めてでした。特に思い入れがあるわけでもなくボンヤリと構えていたところ、例の曲初めのフレーズ「目覚める第六感で撃ちぬいて」で拳銃を構える仕草から涼やかな表情でトリガーを引く森戸知沙希の凛とした立ち姿に見入ってしまったのが運の尽き、そのままフラフラと心を撃ち抜かれ「視線そらして、また追いかけて」を繰り返しながらスッカリ曲の世界に引きずり込まれてしまいました。いわゆるヲタコール的な喧騒も無く、先程までフリコピに執心していたようなヲタも軽く手振りでユラユラと南斗水鳥拳の構えを見せるのみ。ステージ上で繰り広げられるノスタルジックな世界に引きこまれ、時を忘れて立ちすくむ不思議な展開を見せます。曲が終わって会場を包む拍手の音でようやく現実世界に引き戻されるような感覚。何というか夢見心地で見入ってしまったわけです。
アイドルに限らずライブにおいては会場が「盛り上がる曲」こそが良い曲であるかのような風潮が少なからずあります。これは別に間違ってるわけでもないのですが、だからといって盛り上がる曲ばかりというのも何だか芸が無い。じゃあ、とばかりに聴かせるバラードを歌い上げるなんてのも、これまた良くある話で。アイドル楽曲も様々な作家陣が参入した近年では洋邦問わずあらゆる時代や音楽ジャンルからアイデアが引っ張りだされ、アイドルと名が付けば何でもあり状態の実に幅広いものとなりました。メタルを歌うアイドル。ターンテーブルを操るアイドル。かっこ良くラップをキメるアイドル。つまり「こ、こ、からだ、行くぜ、つばき、ファクトリー!イェー!」な事になっている。
そんな中、あらゆる音楽を飲み込んだ現代の「アイドル楽曲」にあって、まだ手つかずでこんな秘境が残されていた事にまず驚かされます。音楽の流行り廃りが目まぐるしく様変わりする中で、いつしか人々の記憶からも遠のき、すっかり時間の隙間に取り残されたようなこの「90年代のアニソンのエンディング風」という穴場スポット。
しかしながらこの「恋はマグネット」を作曲したばかりか、なおかつ編曲まで手がけた最重要人物、渡辺泰司氏によると取り立てて「90年代のアニメのエンディング」を意識したものではないらしく、あくまでもこういう事のようなのです。
フラゲ日!
— YASUSHI WATANABE (@yashigoren) 2016年3月8日
「Country Girls-恋はマグネット」
ダンスも美しいMVを是非!https://t.co/PGlWsEa9ko
80、90年代エレクトロベースに懐古胸キュンメロディーを乗せました。
歌詞も秀逸! pic.twitter.com/Wbo7E07Ld2
音的な狙いは概ね予想された時代のテイストに相違なく、さらに懐古胸キュンメロディーまで乗っけられちゃったとて、この90年代アニメのエンディング風味というピンポイントで我々の心に迫り来る感覚を解明するまでに至りません。その謎を解く鍵を握るのはYASUSHIの言うとおり、その秀逸な「歌詞」にあるのではないか!そんな感じの結論にようやくたどり着きました。
作詞を担当したのは「J-POP」はもとより「アニメ」や「ゲーム」関連でもプロフェッショナルな実績を持つ作詞家「井筒日美(いづつひみ)」という方でした。
昨年発売された「アンジュルム」のセレクションベストアルバム「大器晩成」初回生産版Aに収録された「涙は蝶に変わる」が初のハロプロ仕事だったらしく、これまで余り馴染みはありませんでしたが「ASAYAN」以来のハロプロファンという本人による詳しい解説はこちら。
もはや「アーティスト」自ら作詞するのが当たり前みたいになってるこの時代に、プロの「作詞家」で飯が食えてる人の書く「歌詞」ってのは何つーか、やはり良いもんです。これ嫌味でも何でも無く、もし「福田●音」がこれ書いてたら一夜にして評価が一変するほどの、花王名人劇場に出た次の日の「B&B」みたいな事になるレベルのやつですよ。
急な坂道 後ろ歩きで ふざけあい
ミニチュアの街 見下ろしたっけ
友達以上? でもそれ以上 進めずに
惹かれてくほど 反発しちゃう
何ここ良すぎだろ!これこれこれ、こういうやつ「●●花●」ちゃんは、この部分5万回写経するように。
冗談はさておき、年長組3人がメインとなり比較的アダルトな印象のある「恋はマグネット」ですが、あらためて歌詞を見直してみると、これ別に「大人の女性」の歌ではない事が分かります。どちらかと言えば「大人に憧れている」ような「背伸びした女の子」が主人公の歌です。だからと言って船木が背伸びしたところで物理的には大した事ないわけですが、この曲のパフォーマンス面で重要な「大人っぽい表現力」させたらホンマどえらいもん魅せてくるので注意して下さいよ。
「恋はマグネット」というぐらいですから、ご多分に漏れず当然「恋愛」がメインテーマとなります。恋に前のめりになってる「女の子」とは対照的に、どちらかというと男子の方は「恋に奥手」というか、やや「恋に鈍感」なところがあるようです。同年代でも男子より女子のほうが一歩先んじて「大人の階段」登っちゃうようなところがありますもんね。多分男子は家で毎日「プラモデル」とか作るのに夢中なんでしょう。タミヤの戦車のやつですきっと。
フワリくちびるに そっと触れたい
触れたいだけで、これ決して触れてるわけじゃありません。
きっかけをあげたのにドギマギと Follin`LOVE
そんな君の照れた素顔に♥(ラブ)
この野郎は、きっかけもらっといてドギマギと照れてるだけかよ!
弾ける第六感で 抱きしめて
抱きしめているわけでも、抱きしめられているわけでもありません。
止まない第六感で つかまえて
つかまえられてもいないのです。
ラインだ、SNSだと何かと便利なこの時代。得たものもあれば失ったものもまた多い。
何でしょう。黒電話で行き来するようなこの恋のスレ違い。
もどかしくもあり、愛おしくもある。
「由美ちゃん…。」「太陽くん…。」的なアレですよ。
この感覚はもしや、そう!
90年代アニメのエンディング曲みたいな世界観!!
と、わりと強引に結論付けて、このまま足早に終わろうかとも考えたのですが
この「背伸びする女の子」が主人公という解釈に基づけば、あの夜「京都FANJ」で見た「恋はマグネット」で終始一貫「森戸知沙希」と「船木結」を中心とした緩やかな軌道を追いかけていた俺の選球眼もあながち間違ってはなかったわけです。この曲の間奏部分で、この2人がスッと前に出て来てキレ良くダンスを踊った場面が頭の中を駆け巡り、ライブが終わってから握手もそこそこに見たわけです。再度確認が必要だったもので見たんです。YOU!tubeの「恋はマグネット」MV動画を。
当然お気付きの通り、そこにはキレキレでうねり踊る、かつてアレほどまでに「みつばち」が待ち望んだ、あの「カッコイイ」稲場愛香のソロダンスが!
これをまだ生で見れてない事に愕然として、苦いコーヒーを飲んでは切なさを噛みしめる日々なのです。