guchu guchu pay

使命感的な何かが湧き上がってきたら更新するブログ

BABYMETALは握手しない

昨年1月に「MJ」でOAされた「イジメ」を見て「BABYMETAL」に一気に引きこまれ、その情報を探ってるうちに公式サイトにて、関西方面でもリリース記念ライブが行われる事を知り、にわかに色めき立ったところまで書きましたが、その続きです。

リリース記念ライブ「イジメ、ダメ、ゼッタイ」in大阪 (2013年1月14日 心斎橋FANJ twice)[1回目開演14:00、2回目開演16:00]

 これ参加方法が指定店舗(京阪神タワレコHMV等)にて9日(フラゲ8日)発売の「イジメ」CD全4種のうち2種買うとライブの整理番号入り参加券1枚配布というものでして、つまり全4種買うとライブ2公演ともコンプ出来る仕様になってるわけですね。

それだけでも十分ありがたい話なんですが、なんとそれプラス初回盤3種同時購入で、いわゆる法人別特典http://www.toysfactory.co.jp/artist/newsmore/593もGET出来ちゃうという1粒で2度おいしいアーモンドグリコさながらの手厚いドーピングっぷり、ようするに「世直し三種の神器を身につけてBABYMETALのLIVE見ちゃおうぜ!」と、こういう事なんでしょう。アイドルによくあるオープンスペースでのフリーライブなんかや握手会を中心とした接触型ドーピングといった販促イベントの定石とは一線を画すユニークなやり口です。

CDの複数枚購入を推奨してる点において、これまぎれもないドーピングなんですが、何を売りにしているかという部分ですね、そこらへんがちょっと違う。

接触商法とはつまりCDを1枚買ったら、握手会に参加できる券みたいなやつが1枚貰えて、運営の規模や方針によって「低速」から「音速」、果ては「投げ飛ばし」にいたるまでサービス内容の差こそあれ直にアイドルと「接触」出来るという皆さんも大好きな例のやつです。

こういった商法は「手売り」なんて言われて別にアイドルに限らず昔から行われていた事で、あくまで商品であるCDが主目的であって、まあオマケ的なファンサービスの一環であったはずなんですが、「アイドル」という素材特有の魅力がアレして、例えが凡庸かつオッサンで申し訳ないんですが「仮面ライダースナック」状態、あるいは「ビックリマンチョコ」状態に陥ってるんじゃないのそれってか、早い話がCDじゃなく握手売ってるやんっていう。

この「握手」というのが曲者でして、額面どうり「シェイクハンド」的な意味では収まりきれなくなってきたのが昨今のアイドル握手事情なわけで、よくあるキモヲタ握手会用語で「何往復」なんて言葉がありますが、ようするに「会話」のリレーが「何往復」続くかという意味ですね、もちろん「無言握手派」の人や「お手手の感触たしかめ隊」の人もいるんでしょうが、世の流れ的には完全に「会話」を楽しむ事にその主目的が移行したと感じるわけです。

なにかとダメな握手会の代表格みたいに言われがちな「ハロプロ」の高速ベルトコンベア式握手会ならば、一瞬の握手で会話もそこそこにスッ飛ばされようが、至近距離でハロメンと対峙すりゃそりゃもう満足顔でもって「nkskの顔がめっちゃ小さかった!握りこぶし大だった!!」とか「鞘師の手が赤ちゃんみたいにプニプニしてた!!」といったような興奮冷めやらぬ新鮮かつ気持ち悪い感動に帰結するという、ある意味良い感じの距離感をもって「アイドル」と接する事が出来ると、まあ糞事務所の奴隷的な意見ですけどね、でも距離感はやっぱり大事だと思うんです。

「距離感」ってのは結局「ありがたみ」ですし、アイドル信奉=偶像崇拝と考えるとミステリアスな部分があったほうがゼッタイ良いと思うんですよ。「身近な存在」過ぎるのも考えもので、まあモザイクがあったほうが興奮する人もいれば、丸出し上等の人も当然いるし、アイドルに何を求めるのかなんてヲタの数だけあるわけですから、なかなか一筋縄ではいかない話です。

 ただ「個別握手」や「BLOGのコメント欄」といった時代の趨勢に「ハロプロ」も巻き込まれたのか取り込んだのか知りませんが、ここらへんの導入によって「会話」によってもたらされる自己アピール的な欲求の発露に歯止めが効かなくなった層が、より「会話」を重ねる為に未開封のCDを何枚も重ねていくという現状を見るにつけ、なんかこう人間の業みたいなものを利用した商売から滲み出る品の無さに、こうじゃないやり方でCDが売れたならどんなにか素晴らしいのにとアレコレ無い知恵絞ってみたところで妙案が浮かぶほど単純なもんじゃない。そもそも一介のヲタ風情だし、端からなんの権限も無い。

当然ハロメンはポジティブに握手会をとらえているだろうし、ファンからの直接的な言葉に励まされる事も嘘ではないと思いますが、何か「アイドル」として大切な物を代償にして身を削っているような、鶴が機を織る為に自分の羽を1本1本抜いてるような行為に見えるわけです。

実際握手で成り上がったような秋元製アイドルの方々を見ても俗っぽさばかりが目に付いてアイドル性といいますか良い感じの「浮世離れ感」みたいなもんが微塵も感じられない、等身大すぎて生々しいんですよあれ。「握手スキル」なんて言葉がありますが本来アイドルにとってそんなもん必要ないわけで「ステージ」で輝いてなんぼだろと、嘆いたところで音楽不況は下げ止まらない。だからといって「新曲リリース記念イベント」なんて銘打っといて肝心の新曲歌わないでせっせと握手に精を出すなんざあなた、何売ってんのか何買ってんのか肝心の音楽が完全に蚊帳の外に置かれてるやないですか。

「佐村河内問題」で図らずも明らかになったように「音楽」には時として「音楽そのもの」よりも「キャラ」や「その背景」が優位に立つ側面があり、それを含めて消費者は音楽を楽しんでいる部分があると言えます。だからと言って音楽で商売する側が、そんな甘っちょろい「自称音楽ファン」相手に肝心の「音楽」をないがしろにした商売をして良いって道理がない。

まあ自分で書いてて「ハロヲタ」的に耳の痛い話なんですが。

結局のところ積み重ねによるランキングとフォーメーションダンスを軸にメディアを利用して一点突破を目指す「モーニング娘。’14」の行く末を見守るより仕方ない現状ですが、なんだかんだいってアップフロントの事務所力と勝負勘にはあなどれない所があるんで、それなりの勝算ありなんでしょうかね。どうなんでしょうか。

で、物凄い回り道の果てに「BABYMETAL」の冒頭の件に帰ってきました。

ようするに「非接触型」でもって「ステージパフォーマンス」を軸に世に打って出るという、しかもドーピング内容が「握手」でも「チェキ」でも「野球盤対決」でもなく「世直し三種の神器」なる珍奇なライブグッズとくれば、そりゃLIVE見なけりゃダメ、ゼッタイでしょうってことで、名も知らぬ親切なツイッター民の「日本橋ディスクピアに整理券まだあるよ」との情報を唯一の頼りに行ってきましたよ。近鉄、京阪、大阪市営地下鉄と乗り継いで、俺のPITAPAが火を噴くぜとばかりにね。

颯爽と通常版とZ盤を購入し、店のお姉さんからの「1回目と2回目どちらになさいますか」という問いかけに「アッ!!えーと、にっ2回目でお願いします」ここはビシッと答えてやりましたよ、そりゃあ堂々としたもんです。何故2回目をチョイスしたのか、簡単なことです。1回目の開演時間まであと5分くらいしかない、日本橋ディスクピアから会場のあるアメリカ村までどう考えても間に合わないからなんですね、たぶん馬にでも乗って来た人と勘違いされたのでしょう。ケアレスミスです。

そんな与太話はさておき「心斎橋FANJ twice」なるライブハウスに這々の体で辿り着き、会場周辺を観察すると「イジメ、ダメ、ゼッタイ」と真っ赤に染め抜かれた黒地のTシャツ姿の連中が会場前の三角公園にたむろってたりする。これは例のやつですよ「世直し三種の神器」のひとつ「だんご3兄弟」でいうところの長男ポジション「世直しTシャツ」です。けっこうな冬真っ盛りなのに気合入ってるわけです。というか見た感じ若者率高し、つまりおっさん率低し。オールスタンディングはおっさんにとって鬼門ですからね。

愛馬の手綱を電柱にくくりつけ、Mosh Pitにいざ突入です。

と、前回からほとんど進んでいない牛歩戦術のような展開でお送りしていますが、こっからが本番なんでキリが良いか悪いかわかりませんが、ここらで一旦失礼します。