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使命感的な何かが湧き上がってきたら更新するブログ

娘。13期発表前夜の大国町

先月の勤労感謝の日、大阪オリックス劇場で行なわれたモーニング娘。’16コンサートツアー秋 MY VISION昼公演においてリーダー譜久村聖ちゃんから「娘。13期メンバーオーディション」に関する重大な情報がリークされました。皆さんご承知の通り要約すると以下3点。

  • 13期メンバーがついに決定。新メンバーのお披露目は12月12日の日本武道館公演。
  • 一般からの合格者は無し。
  • 13期メンバーは「ハロプロ研修生」から選ばれた。

実はこの発表、大阪で行われた今ツアー4公演のうち偶然にも唯一見に行った回での出来事でした。ふくちゃんが何か「お知らせ」みたいな事を話し出した時には、まさかそんな重要な発表とはつゆ知らず「新しい写真集が出ます!」とか、どうせそんな事だろうと「水着でフクムラダッシュしてます!」とかだったらDVD購入もやむ無し。などと呑気に構えていたわけです。

余りに不意を突かれたもんで「え!ここで発表すんの?」と勘違いしてテレビカメラ*1をキョロキョロ探してみたり、ふくちゃんの「○○降りといで!」切っ掛けに新メンバーが登場するまで期待してハラハラする始末。欲張りすぎて完全に冷静さを欠いてしまいました。それでも「割とデカイ」発表だったと今更ながら思うわけです。

当然この「13期メンバーは研修生からのみ」という情報は瞬く間にネット中を駆け巡り、アチラコチラで「合格者は誰なのか」と「ハロプロ研修生」を俎上に13期メンバー大予想大会が展開される事態を招きました。

いっぽうで「一般応募からは該当者無し」という結果に対する不満やら「ハロプロ研修生」を経由しないと「ハロプロ」に入る事すらままならないという、ここ最近の傾向に対する否定的意見も多く散見されました。

このあたりのフォローは公式サイトにて以下のように説明がなされます。

前回のオーディション、そして今回の再募集でも可能性を秘めたたくさんの
才能に出会うことができましたが、惜しくも即メンバーを選ぶには至りませんでした。
結成20年目をむかえたモーニング娘。は歴史を重ねてきた分、近年新メンバーとして求められるものも、そのハードルが総合的に上がってきていることを感じています。

たしかに嘗ての「ASAYAN」や、テレ東の「オーデ特番」なんかで展開された「娘。オーディション」ならでは醍醐味や、歌もダンスも未経験みたいな素人あがりの成長物語を見せる事もなしに、過程をすっ飛ばしていきなり「研修生から選ばれました」は如何なもんかという意見もわかります。

しかし、安倍なつみが北海道の田舎街で「ASAYAN」に出るしか歌手になる方法がないとか思っていた時代ははるか昔の出来事で、久住小春にしろ高橋愛にしろ「片田舎」で僅かな情報を頼りに「アイドル」や「芸能人」の道筋を模索したような時代はとうの昔に過ぎ去りました。

特に「AKB」の台頭や「あまちゃん」ブーム「アイドル戦国時代」なんて言葉を目にするようになって以降、歌手やアイドルに憧れを持つ「予備軍」ならば幼少期から地元のスクールやら地方芸能プロダクションに入って「ロコドル」まがいの活動を経験するなんてのも自然の流れというもので、逆に「芸能人志向」「アイドル志向」を持ちながら「歌もダンスも未経験」なんてケースは稀じゃないでしょうか。今「アイドル」になりたいと思ったら余程のことが無い限りなれちゃうわけですよ。名乗るだけならいくらでも出来ちゃう。アイドルの敷居が嘗て無いほど低い時代と言えます。

そんな時代に「SINCE 1998」を掲げる老舗ブランド「ハロプロ」もまた時代の流れとともに変化を余儀なくされたと、こう思うわけです。

ハロプロエッグ」「ハロプロ研修生」と続く研修機関の歴史において「昇格」という形で「モーニング娘。」メンバーに選ばれたのは、9期オーディションでの現リーダー「譜久村聖」が最初のケースでした。8期の「リンリン」に関しては「2007年冬のハロコン」にハロプロエッグと共に参加していたのは、あくまでも「娘。入り」を念頭に置いた「最終テスト」が主目的だったという見解から「ハロプロエッグ」からの昇格とは考えていません。

この後に続く「10期」「11期」は「エッグ・研修生」も一般参加者に混じってオーディション合宿に参加するという形式を取り「10期の工藤」「11期の小田」がモーニング娘。メンバーとなりましたが、11期オーディションは結果的に「ハロプロ研修生」だった「小田さくら」のみが合格して「一般参加者」からの合格者は無しという今回と同じケースに終わりました。この11期オーディション最終合宿参加者から「ハロプロ研修生」入りした研修生17期の牧野真莉愛岸本ゆめの

と、ここまで書いて時間切れです。今からZepp Nambaで行われるハロプロ研修生発表会」を見に行かねばなりません。明日の日本武道館で発表される「13期メンバー」が果たして誰なのか、その答えが見つかるのか、続きは後編で。

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大国町」から最寄りの駅に、PITAPAを駆使して恥ずかしながら帰ってまいりました。

 いやー良かった。特に「つばきファクトリー」の「付き合ってるのに片思い」が最高でした。とりわけ「さおりん」こと小野田紗栞「ね、良いでしょう?」とか痺れましたよね。とか、言ってる場合じゃありません。そんな時間は無いのです。13期は果たして誰なのかという話です。

昼、夜ともに前方ではあるものの下手側「まことポジション」だったので全体を隈無く見れたとは言い難いです。昼夜どちらか2階ファミリー席でも良かったかも知れません。まさか2階の通路にメンバーが降臨するとは、そういった意味でもこれは不覚でした。

時間もないのでザックリいきます。

結局ね、今のモーニング娘。に入って大きな起爆剤たり得る人選じゃなきゃ意味ないと思うわけです。正直言って人数的に現メンバー11人でも多いくらいなのに、そこに入れるからには「現体制を大きく変える」くらいの新メンバーじゃないと。イタズラに数だけ増やしても「キンブレ屋」が困るだけです。

早い話。この子がはいりそうだ!と思わせる、ずば抜けて何か別次元のオーラを放つような子はいませんでした。ただ、この子が入ったなら現体制のモーニング娘。が大きく変わるんじゃないかと。そう思わせる子はいました。

それは、

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加賀楓さんです。

確かに今日、まことに「かえでぃーパーマかけた?」とか質問されてしまうくらいクリンクリンにカールを巻いた「おばさんパーマ」みたいな髪型してましたけども。ただそんな愛嬌ある丸顔とは裏腹に身体のフォルムの格好良さ、シルエットの美しさたるや半端なかった。ダンスのキレ、歌唱の安定も申し分ない。今一番「モーニング娘。」に入ったら面白い存在はズバリ「加賀楓」さんです。

確かにこれまでの「研修生から昇格」パターンを鑑みると12期の羽賀朱音より研修生歴の長い「かえでぃー」の目は無いに等しいと言えます。あるとしても「同期まで」で「研修生時代の先輩」が後輩として加入した例はありません。

だからこそ面白いんじゃないですか。

6期の藤本美貴的な扱いで、期では後輩だけど「同期も同然」くらいの存在として堂々としておけば良いんですよ。加賀なら全然OKです。羽賀に先輩面されようもんなら腹肉掴んで引きずり回したったら良いんですよ。そもそも「あかねちん」に「おへその国からこんにちは」のダンスを教えてあげたのは加賀ちゃんじゃないですか!

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真面目な話になりますが、今年の春にリリースされたモーニング娘。’16の楽曲泡沫サタデーナイト!はアレンジ含め最高の素材を与えてもらったと思うわけですよ。これ久々に世間に打って出れるやつ来たなと。でも、そうはならなかった。

今年の春の娘コンで実際に泡沫サタデーナイト!を生で見て、何となく答えは見つかりました。ズバリ「歌唱に迫力がなかった」のです。「歌唱に余裕がなかった」とも言えます。この曲のポテンシャルを100パーセント引き出せていないと感じたのです。

今、娘。に必要な存在を「ハロプロ研修生」から一人だけ選ぶとしたら「かえでぃー」を置いてほかにありません。加賀楓でファイナルアンサーです。

 

と、ここで終われば綺麗だったのですが、

現実問題として「娘メンバー」によるリークやら、さまざまな状況証拠から「単独加入」ではなく「複数加入」だとか、羽賀ちゃんより年下であるとか、さまざまな情報を踏まえまして、一応「あやしい」と感じたメンバーにも熱視線を浴びせて来たので報告がてら。色が合うという点でモーニング娘。っぽいと感じたのは以下の3名。

時間がないので詳細は避けますが、川村さんの歌声があんなに可愛らしい感じだったなんて知らなかったよ。金津は凄く目を引きました、見ていて面白い。「ゆはね」は精悍な顔つきしてました。年齢的にまだまだ背が伸びそう。とか寸評してる場合じゃない。時間がないのです。あの頃の「はまちゃん」よりも時間がない!

あくまでも「モーニング娘。」に入って一番面白くなるのは加賀楓という結論で、このエントリーを閉めさせていただきます。明日のスカパーの録画予約ボタンを「スイッチON!」してスヤスヤと眠りに付くとしましょう。

*1:ハロ!ステカメラしかありませんでした。

宝ヶ池の「恋はマグネット」

記憶が新鮮なうちに書いときます。

カントリー・ガールズライブツアー2016春夏」こちらにおじゃまして来ました。*1

今年に入ってからは「社会の歯車的事情」で思うような現場参戦もままならず、年に一度の中野詣で*2であるハロプロ研修生春の公開実力診断テスト」すら断念せざるを得ないという地獄の苦しみも味わいました。一時期は自暴自棄になってしまい、飲めない酒を浴びるように飲んでみたり「つばきファクトリー」関連のDVDをヤフオクで落としまくってみたりと荒れた生活に身を落としたものでしたが、何も獲って食われるわけじゃなし、ヌーの大群に囲まれて全身ベロンベロンに舐め回される事を思えば取るに足らない瑣末な話と、ドーピング気味にポジティブ思考をアクセルベタ踏みフル回転すればこれ、不思議なもので幾分気持ちも安らいだ次第です。

とか、そんな魂の遍歴なんかはどうでもよくて、カントリーのライブに行ってきたという話です。

「気絶」大阪公演中止と「いなばっちょ」の離脱

暗闇に射す一条の光のごとく、今年上半期最大のお楽しみとして今や遅しと待ちわびていたのが、カントリー・ガールズ主演ミュージカル演劇女子部「気絶するほど恋してる!」大阪公演だったわけですが、事情通の皆様ならすでにご承知の通り、このような事態になってしまいました。

何せ「公演中止」ですからね、異常事態なわけです。一人や二人欠場したところで何食わぬ顔でシレッと強行するのが銭ゲバアップフロントクオリティだと思っていましたが、ライブと違ってお芝居となるとそうもいかない。しかも、このお芝居における中心的人物、主役である「寛子」役を演じていた稲場愛香の活動休止にともなう緊急処置となれば、さすがに「キソラ」で代役というわけにもいきません。

小関舞の「声帯結節」、山木さんの「マイコプラズマ感染症」、嗣永PMの「声帯ポリープ」、森戸知沙希の「赤面症」など、これまでも病気が理由でイベントやライブ活動に制限がかかる事はあったものの、今回の稲場愛香のように「喘息再発による治療専念」という復帰時期がいつになるやらわからない重い事態ではありませんでした。それだけに過去の事例と照らしあわせて不穏な憶測を呼び込みがち、ビクビクしがちではあるのですが、現在更新された最後のブログ記事を信じて彼女の復帰を待つよりほかないという状況なのです。

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稲ばっちょに関しては「マッシ」やなんかと一緒にハロプロ研修生19期としてお披露目された頃からは想像だにしなかった「ハロプロミュージカルの主役」抜擢という、まさに赤羽橋ドリームを体現したような立身出世の人という印象が強くあります。

研修生当時から噂を聞きつけたハロプロ正規メンバーの耳目を集めるほどの「ダンス」巧者ぶりを発揮していたとはいえ、はっきり言ってしまえばスタイルが良いわけでも顔面偏差値が高いわけでも歌が飛び抜けて上手いわけでもない、一見ただの「雪見だいふく」に過ぎなかったわけです。しかし、それを補って余りあるほどの「声の可愛さ」だったり「表情の上手さ」だったり、男心をくすぐる「アザ可愛いらしさ」はもちろんの事、時に道化も演じられるユニークな一面も合わせ持ち、何より人を惹きつける「愛嬌」に秀でていました。最近のアイドルとしては決して若くない年齢でのカントリー・ガールズメジャーデビューから今日まで、近年稀に見る脅威の伸び率を見せたのが稲場愛香という人だったと、こう思うわけです。

その類まれなる「タレント性」のみならず「歌唱面」での明らかな成長ぶりや、自炊による徹底した体重管理によって適度な「だいふく」感を残しつつ以前と比べて幾分すっきりしたスタイルを維持するなど、本人の向上心とたゆまぬ努力が実を結んでの(カントリーのお家事情的な問題や演技力的な問題はあるにせよ)ミュージカル主演抜擢だったと思うわけですね。一概に言えなくとも、やはりお芝居の主役というはグループのエース的立場の人間がやるもので、それがハローにおける昔からの習わし。そういう意味では色々あってエース不在でここまでやって来たカントリーにとって、ついに来た「ばっちょエース時代」の到来を思わせるエポックな出来事と言えました。

何というか割りとアイドルグループにおけるメンバーの立ち位置って「ハロプロ」に限らず最初の段階であらかた決まってるようなところがあるじゃないですか。にも関わらず、かつて「9期オーディション」で勝者と敗者に分かれた鞘師里保を「ハロステダンス部」でセンターの座から引きずり下ろしたり、カントリー・ガールズ結成当初には考えられなかった今回のミュージカル主役抜擢だったり、次々とその常識を覆していったところが「ばっちょ」の凄さであり、後進にも希望を抱かせるような存在にまで上り詰めたという思いを強く抱いていたわけです。

2014年の「春の公開実力診断テスト」稲場愛香はフリフリ衣装のアイドル歌唱でスマイレージの「スキちゃん」を歌いました。審査員「みつばちまき先生」からは「もう高校2年生になるんで…、可愛いのはずっと見てきたから、ちょっとワタシ的にはカッコ良いの見たかったんだなー」という苦言が呈せられます。当然これ「まき先生」からすればダンスの実力を見てほしいし、そのカッコ良さも知ってもらいたいという親心から出た発言なのでしょう。

しかし、あえて得意のダンスは封印し、カッコ良さよりも可愛らしさに重点を置いたパフォーマンスを見せる事によって「ダンスだけじゃない稲場愛香の新たな魅力」を広く内外にアピールする事に成功したように思うのです。あれで山ちゃんがアップフロント首脳陣が「僕は稲場愛香ちゃん!」となったかどうかは知りませんが、結果的にその年の秋に「カントリー・ガールズ」は始動し、そのメンバーに稲場愛香は選ばれました。

9期オーディション3次審査落選。地元北海道のローカルグループ「PEACEFUL」*3としての活動と解散。ハロプロが地方在住者に大きく門戸を開いた2013年に北海道研修生第1号としてハロプロ研修生に加入。そこから一年余りの研修期間を経てようやく辿り着いたこのロングアンドワインディングロード。自分自身でアイドルの道を切り開いてきた、そんな人物であり、これからもそうであって欲しいと心から願っています。

本来ならばこの「気絶するほど愛してる」大阪公演を経て、返す刀で始まる予定だったのがカントリー・ガールズライブツアー2016春夏」と、こういう事だったわけですが、その背景をサラリと振り返るつもりが薄々お気づきのとおり、このように「いなばっちょ」への熱き思いのたけを長々と書いてしまうという事態に陥ってしまいました。

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 さて、そんな「ばっちょ」への思いを胸に、ようやく本題に入ります。

京都市営地下鉄国際会館駅

今、チケットの半券を確認したので間違いありません。2016年6月19日(日曜日)に行われたカントリー・ガールズライブツアー2016春夏」京都FANJ夜公演、これを見てきました。この京都FANJなるライブハウス、京都市内でも北の果て、地下鉄の終着駅である「国際会館」が最寄りの駅となっています。だからと言って「国際会館」カントリー・ガールズがライブしたわけではありませんよ。それはまだまだ先のお話です。

ちなみに「国際会館」こと「国立京都国際会館」ってのは、地球温暖化対策として二酸化炭素などの温室効果ガス排出量削減目標なんかを取り決めた、あの京都議定書が採択された事で有名な場所なんですね。ご存じ無いかもですが。で、本来そんな「国際会議」が行われるような場所ですから、何がしかの国際会議に出るような立場の人間でもない一介の小市民にとっては一生行くことの無い、一生降り立つことなど無いはずの駅だったわけですよ「国際会館」なんて駅は。

にも関わらず昨年の秋から、またまた何回目よ何回目という勢いで通っちゃってる。何故なれば、そこに京都FANJがあるからです。ざっと半券を調べたところ昨年11月のJuice=Juice、今年5月のこぶしファクトリーに続いて今回で3回目でした。すぐそこに比叡山がそびえ立っているような、そんなロケーションのライブハウスです。かつて僧兵がウロウロしてたような場所で「やなみん」が歌い踊るわけですからねこれ。

ホールコン主体のモーニング娘。℃-ute、ゼップ椅子ありの「研修生発表会」を除けば、ここ数年の「ナルチカ路線」によりライブハウスでのオールスタンディング形式がすっかり定着してしまった感のあるハロプログループの単独ライブ公演。ステージの高さや客席の構造などは各ライブハウスによって当然異なるわけで、おのずと見えやすい見えづらいなんかの優劣がついてくる。ライブハウス公演の何が一番恐ろしいかって整理番号によってはステージが全然見えないなんて事態も起こりえる、そういうヤバさがあるわけです。

メンバーの身長が軒並み低いことでお馴染みの「カントリー・ガールズ」ですが、今回のライブハウスツアーからは新メンバー梁川奈々美船木結も加わって、その傾向に一層拍車がかかるという始末。オールスタンディング向きとはお世辞にも言いがたいグループなわけですよ。船木が全く見えないなんて事にでもなれば、そりゃもう一生の不覚。

この「ステージが見えづらい」という部分がネックになってオールスタンディング公演を回避する向きもあるかと思うんですが、ここ数年の「ナルチカ路線」を経験してたどり着いた結論としましては、やはりこれ身も蓋もない話「整理番号」が全てであるという事です。そりゃ若い番号に越したことはありませんが、各ライブハウスによって「満足が得られる景観」を確保出来る「整理番号」もまた違ってくる。これはステージの高さだったり、客席の構造がフラットなのか傾斜や段差があるのかによっても当然変わってきますし、もっと言えば自分自身の身長やシークレットブーツの高さ、動きや体のデカイ奴が視界に入り込まないようなポジショニングの読み、挙動のおかしな奴から距離を取る危機回避能力の高さなんかも要します。つまり、同じ整理番号100番であったとしても「奈良ネバーランドと「梅田クラブクワトロ」では天と地ほどにお客様満足度も変わってくる。各ライブハウスによって整理番号の「損益分岐点」みたいなものも違ってくるわけです。そこの見極めが重要となってくる。

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 アイスは食べても食べ過ぎない!

さて、ようやく本題に入ります。そういったオールスタンディング公演のノウハウを駆使すれば、過去2回も入ったことのある「京都FANJ」ですから予習はバッチリ出来ている。ここはステージの高さは普通なのですが、客席がフラットでだだっ広く整理番号によってはかなり見えづらい事になる。ふな汁顔面浴び放題の良番とまでは行きませんが、ヤフオク的なやつで熟考の末に叩き落とした整理番号は概ね良いラインを突く、まずまずの視界を確保するものでした。おまけにメンバーが回替わりでソロトークを披露する「MCコーナー」の担当が森戸ちゃんというラッキーにも恵まれ「アイスを食べ過ぎたら肌が荒れちゃったんだよ!」みたいな話を延々聞かされた挙句、最後には何故か「アイスは食べても食べ過ぎない!」という標語を「森戸党決起集会」さながらヲタ全員が復唱させられるという素敵なアクシデントにも見舞われました。つまりこの、端的に言うと悦楽の時を過ごすことになったのです。

狼の一人スレからお借りしたセットリストはこちら

01.恋人は心の応援団
02.キスより先にできること
MC 自己紹介
03.新しい恋の初デート
04.恋はマグネット
05.Bye Bye 最後の夜
06.わかっているのにごめんね
MC
07.VIVA!! 薔薇色の人生
08.リズムが呼んでいるぞ!
MC
09.アンブレラ 嗣永・森戸
10.アイスクリームとMyプリン 山木・小関・梁川
11.ガラスのパンプス 山木・森戸・船木
12.大人になるって難しい 嗣永・小関・梁川・船木
13.グルグルJUMP
MC
コール&レスポンス
14.妄想リハーサル
15.ブギウギLOVE
16.浮気なハニーパイ
17.恋泥棒
18.革命チックKISS
アンコール
19.ランラルン~あなたに夢中なの~
20.愛おしくってごめんね

 昨年の秋冬ツアーでやっていた「二人の北海道」「女の子の取り調べタイム♥」という旧カントリー娘。時代の2曲がセットリストから外れてしまったのは個人的に凄く残念だったのですが、その分「梁川・船木」加入後の新曲が増え「カントリー・ガールズ」オリジナル楽曲も随分と多くなってきました。これはもう「アイドルもういっちょ!」の黒メガネ氏の言うとおり「アルバムまったなし!」「浮気なハニーパイ最高!」という状況のようです。

ツアーも終盤戦という事で、そんな新曲にもバッチリ対応してコールやフリコピなんかも完璧に仕上がっており、その様子からは相当数のリピーターが詰めかけている事も窺われました。客席の乗りとして感じた事は、とにかく「ハローのスタンディング」は踊りたくて仕方がない「フリコピ中毒」みたいな人たちが少なからずいるという事です。確実に家で練習してきてるレベルのやつです。「グルグルジャンプ」のサビで回りだした奴を見た時は懐かしさとともに「お前どんだけスペース確保してんだよ」という思いが一瞬頭をよぎったりもしましたが、日常から開放されカントリーのライブを心の底からエンジョイする「おっさんの弾ける笑顔」を見てしまうと、これもう、なんだかんだ許してしまうのでした。

山木さん率いるセクシー小隊による「アイスクリームとMyプリン」やら、モモイレージの「大人になるって難しい」といった味な選曲のシャッフルコーナーも印象深く、会場の盛り上がりという点では「グルグルジャンプ」も確かに凄い。時に「オイ!オイ!」時に「フー!フー!」時に「フワフワ!」と会場に木霊するヲタコールの嵐。会場が一体となって楽曲を盛り上げる、積極的にヲタが楽曲に絡んでいく、楽曲にヲタの息吹が吹き込まれる事によって新たな魅力が引き出され、そこで初めて「ハロプロ楽曲」として完成の域に達するような所があったり無かったりする。これもまたライブならではの醍醐味といえるでしょう。

そんな中、ヲタの介在を一切許すことなく超然と異彩を放っていたのが恋はマグネットという曲でした。

視線そらして また追いかけて 恋はマグネット

今更ながらの話ですが、オールディーズやロカビリーといった古き良きアメリカンポップスの流れを汲むカントリー・ガールズ楽曲群にあって、発表当初から「90年代のアニメのエンディング風味」という世代的にピンとこなければ雲を掴むような評価のされ方をした、あの「恋はマグネット」の話です。

ネットやなんかでは散々見聞きしていたものの恋はマグネットを実際に生で見たのはこの日が初めてでした。特に思い入れがあるわけでもなくボンヤリと構えていたところ、例の曲初めのフレーズ「目覚める第六感で撃ちぬいて」で拳銃を構える仕草から涼やかな表情でトリガーを引く森戸知沙希の凛とした立ち姿に見入ってしまったのが運の尽き、そのままフラフラと心を撃ち抜かれ「視線そらして、また追いかけて」を繰り返しながらスッカリ曲の世界に引きずり込まれてしまいました。いわゆるヲタコール的な喧騒も無く、先程までフリコピに執心していたようなヲタも軽く手振りでユラユラと南斗水鳥拳の構えを見せるのみ。ステージ上で繰り広げられるノスタルジックな世界に引きこまれ、時を忘れて立ちすくむ不思議な展開を見せます。曲が終わって会場を包む拍手の音でようやく現実世界に引き戻されるような感覚。何というか夢見心地で見入ってしまったわけです。

アイドルに限らずライブにおいては会場が「盛り上がる曲」こそが良い曲であるかのような風潮が少なからずあります。これは別に間違ってるわけでもないのですが、だからといって盛り上がる曲ばかりというのも何だか芸が無い。じゃあ、とばかりに聴かせるバラードを歌い上げるなんてのも、これまた良くある話で。アイドル楽曲も様々な作家陣が参入した近年では洋邦問わずあらゆる時代や音楽ジャンルからアイデアが引っ張りだされ、アイドルと名が付けば何でもあり状態の実に幅広いものとなりました。メタルを歌うアイドル。ターンテーブルを操るアイドル。かっこ良くラップをキメるアイドル。つまり「こ、こ、からだ、行くぜ、つばき、ファクトリー!イェー!」な事になっている。

そんな中、あらゆる音楽を飲み込んだ現代の「アイドル楽曲」にあって、まだ手つかずでこんな秘境が残されていた事にまず驚かされます。音楽の流行り廃りが目まぐるしく様変わりする中で、いつしか人々の記憶からも遠のき、すっかり時間の隙間に取り残されたようなこの「90年代のアニソンのエンディング風」という穴場スポット。

しかしながらこの「恋はマグネット」を作曲したばかりか、なおかつ編曲まで手がけた最重要人物、渡辺泰司氏によると取り立てて「90年代のアニメのエンディング」を意識したものではないらしく、あくまでもこういう事のようなのです。

音的な狙いは概ね予想された時代のテイストに相違なく、さらに懐古胸キュンメロディーまで乗っけられちゃったとて、この90年代アニメのエンディング風味というピンポイントで我々の心に迫り来る感覚を解明するまでに至りません。その謎を解く鍵を握るのはYASUSHIの言うとおり、その秀逸な「歌詞」にあるのではないか!そんな感じの結論にようやくたどり着きました。

作詞を担当したのは「J-POP」はもとより「アニメ」や「ゲーム」関連でもプロフェッショナルな実績を持つ作詞家「井筒日美(いづつひみ)」という方でした。

昨年発売された「アンジュルム」のセレクションベストアルバム「大器晩成」初回生産版Aに収録された「涙は蝶に変わる」が初のハロプロ仕事だったらしく、これまで余り馴染みはありませんでしたが「ASAYAN」以来のハロプロファンという本人による詳しい解説はこちら。

himi216.exblog.jp

もはや「アーティスト」自ら作詞するのが当たり前みたいになってるこの時代に、プロの「作詞家」で飯が食えてる人の書く「歌詞」ってのは何つーか、やはり良いもんです。これ嫌味でも何でも無く、もし「福田●音」がこれ書いてたら一夜にして評価が一変するほどの、花王名人劇場に出た次の日の「B&B」みたいな事になるレベルのやつですよ。

急な坂道 後ろ歩きで ふざけあい

ミニチュアの街 見下ろしたっけ

友達以上? でもそれ以上 進めずに

惹かれてくほど 反発しちゃう

 何ここ良すぎだろ!これこれこれ、こういうやつ「●●花●」ちゃんは、この部分5万回写経するように。

冗談はさておき、年長組3人がメインとなり比較的アダルトな印象のある恋はマグネットですが、あらためて歌詞を見直してみると、これ別に「大人の女性」の歌ではない事が分かります。どちらかと言えば「大人に憧れている」ような「背伸びした女の子」が主人公の歌です。だからと言って船木が背伸びしたところで物理的には大した事ないわけですが、この曲のパフォーマンス面で重要な「大人っぽい表現力」させたらホンマどえらいもん魅せてくるので注意して下さいよ。

恋はマグネットというぐらいですから、ご多分に漏れず当然「恋愛」がメインテーマとなります。恋に前のめりになってる「女の子」とは対照的に、どちらかというと男子の方は「恋に奥手」というか、やや「恋に鈍感」なところがあるようです。同年代でも男子より女子のほうが一歩先んじて「大人の階段」登っちゃうようなところがありますもんね。多分男子は家で毎日「プラモデル」とか作るのに夢中なんでしょう。タミヤの戦車のやつですきっと。

フワリくちびるに そっと触れたい

触れたいだけで、これ決して触れてるわけじゃありません。

きっかけをあげたのにドギマギと Follin`LOVE

そんな君の照れた素顔に♥(ラブ)

 この野郎は、きっかけもらっといてドギマギと照れてるだけかよ!

弾ける第六感で 抱きしめて

抱きしめているわけでも、抱きしめられているわけでもありません。

止まない第六感で つかまえて

 つかまえられてもいないのです。

ラインだ、SNSだと何かと便利なこの時代。得たものもあれば失ったものもまた多い。

何でしょう。黒電話で行き来するようなこの恋のスレ違い。

もどかしくもあり、愛おしくもある。

「由美ちゃん…。」「太陽くん…。」的なアレですよ。

この感覚はもしや、そう!

90年代アニメのエンディング曲みたいな世界観!!

と、わりと強引に結論付けて、このまま足早に終わろうかとも考えたのですが

この「背伸びする女の子」が主人公という解釈に基づけば、あの夜「京都FANJ」で見た恋はマグネットで終始一貫森戸知沙希船木結を中心とした緩やかな軌道を追いかけていた俺の選球眼もあながち間違ってはなかったわけです。この曲の間奏部分で、この2人がスッと前に出て来てキレ良くダンスを踊った場面が頭の中を駆け巡り、ライブが終わってから握手もそこそこに見たわけです。再度確認が必要だったもので見たんです。YOU!tubeの恋はマグネットMV動画を。

当然お気付きの通り、そこにはキレキレでうねり踊る、かつてアレほどまでに「みつばち」が待ち望んだ、あの「カッコイイ」稲場愛香のソロダンスが!

これをまだ生で見れてない事に愕然として、苦いコーヒーを飲んでは切なさを噛みしめる日々なのです。

www.youtube.com

*1:このような速報ライブレポさながらの一文を書いておきながら、以下の続きを書き始めるまで気がつきゃカレコレ1ヶ月以上もの月日が流れていたわけです。明日やろうは馬鹿野郎は何処のどいつだい!という誠に残念な話ですね。

*2:仲野りおんの「ヤッタルチャン」を生で鑑賞するという「ありがたみ」なんかも含めて

*3:このグループに稲場とともに参加したメンバーの一人が佐藤優樹の友達だったことから、対抗心を燃やした佐藤が10期オーディションに参加して本当に合格してしまういう玉突き事故みたいなエピソードは割と広く知られています。

ドラマ「武道館」が僕たちに教えてくれた事 (中)

ネット時代を生きるアイドルの裏側を「リアル」に描いたとされるドラマ「武道館」でしたが、物語は最後の最後で「リアル」を飛び越えてしまい、近未来に訪れるであろう「アイドルの価値観」が大変貌を遂げた世界という壮大な「ファンタジーによって幕を閉じます。まさにこの「ファンタジー」の部分こそが製作者サイドが僕たちに伝えたかった重要なメッセージだったんじゃなかろうかと、このように考えるわけですね。

ドラマ「武道館」が僕たちに教えてくれた事 (上) - guchu guchu pay からの続きになります。

アイドルの価値観が大きく変わったという「12年後」の世界。その事を暗示するのは「NEXT YOU」公式ホームページ上に書かれた例の天才カリスマプロデューサー氏からのメッセージ。

昔は、恋愛くらいでアイドルは卒業を迫られたんですよ(笑)今はそんなこと全然考えられませんね。

 ドラマ「武道館」では、まさに「愛子」と「碧」の2人が恋愛沙汰をスッパ抜かれたことにより武道館公演を目前にしてグループからの脱退を迫られてしまう。そんな考えもう古い、もうダサいとばかりに鼻息荒く主張するのが我らが朝井先生なのです。

朝井:ぼく個人としては、アイドルが恋愛していようがいまいがビックリするくらいどうでもいいんですよね。それはどういうスタンスでアイドルを見ているかにもよると思うんですけど、ぼくが典型的なスキル厨(註:歌やダンスのスキルやクオリティーを重視するファンのこと)だからなのかも(笑い)。おださく(註:モーニング娘。’16小田さくら。歌唱力や表現力に定評がある)が大好きで。多分、おださくが好きな人は、「恋愛禁止」ということにあんまり興味がないような気がしていて。
 それは結局アイドルに何を求めるかっていう話なんだと思います。ぼくの場合は、自分の人生の何か足りないところをアイドルに満たしてもらおうとはあまり考えていないので、アイドルが恋愛しているかどうかはあんまり関係ない。ただ素晴らしいパフォーマンスが見られればそれでいい、という考え方なんですよ。

前回と重複してしまいますが、ここはゼッタイに外せない重要な箇所なので「重複致し方無し」の方向性でやらせさせてもらってます。

朝井氏の理論武装

世に言う「キモヲタ」と距離を置き、自らを典型的スキル厨であると主張する朝井氏の言い分が、譜久村聖ちゃん言うところの「聖そういうのじゃないもん……」的なやつなのかどうなのかは意見の分かれるところですが、つまり「アイドルのパフォーマンス」を重視してる僕のような「典型的スキル厨」は「アイドルの恋愛禁止」とかには興味が無いし「ただ素晴らしいパフォーマンスが見られれば」別にアイドルが恋愛してようがどうでもいい。しかし「アイドルに自分の人生の何か足りない部分を満たしてもらおう」とか考えてる連中はそうでなく「アイドルは恋愛するな」「ブランド品のバックは持つな」「アレするなコレするな」と主張ばかりしてアイドルを縛り付けている。コレ由々しき問題ですよ!といった持論を展開しておるわけです。人がどんな「アイドル観」を持っていようが自由だし、そんなもん違っていて当たり前だし、基本どうでもいいのですが。

 おださくが好きな人は、「恋愛禁止」ということにあんまり興味がないような気がしていて。

この小田ちゃんのくだりはいただけません。コレ由々しき問題です。これはもう単なる「テメーの女の好み」の問題にすり替わってしまっています。ルックスの好みは十人十色「ハロヲタ」ならば尚の事でしょう。そんなもん主観によるだろうとね。しかし、この主観こそが「アイドルの恋愛」に対する「ファンサイド」からの答えそのものなんじゃないかという事を図らずも朝井氏自ら証明してしまっているようにも思うわけです。

ここで朝井氏は「小田さくらは歌唱力や表現力に定評があるメンバー」だから「アイドルを見るスタンスがパフォーマンス重視の典型的スキル厨」である「小田ちゃん好き」の僕たちにとって「アイドルが恋愛していようがいまいがビックリするくらいどうでもいい」と強引に結論づけてしまっている。もはや日本のどこかで小田ちゃんを見て性に目覚めちゃった小学生男子(高学年)がいるかも知れないという可能性すら完全否定です。これってつまり朝井氏が「小田ちゃんが恋愛していようがいまいがビックリするくらいどうでもいい」というだけの話であって、アイドル全般の話にするから何かおかしな事になる。

たとえ「アイドル」であっても、それが「ハロプロメンバー」であっても自分にとって取り立てて関心がなければ、それが誰であろうとも「ビックリするくらいどうでもいい」事だし「まあ冷静な俺たち」でいられるわけです。

おださくが好きな人は、「恋愛禁止」ということにあんまり興味がないような気がしていて。

じゃあ誰が好きなら「恋愛禁止」に物凄く興味があるというのですか。その辺りのデリケートな部分に無頓着でいられなくなっている「恋愛していようがいまいがビックリするくらいどうでもよくない!」のは誰のファンだというのでしょう。小田ちゃんならどうでもいいけど誰ちゃんだったらどうでも良くないんだよ!!

言いましょうか。ズバリ当ててみましょうか。

 それは森戸知沙希ちゃんです!

そうです。稲場っちょ言うところの「ちーたん」梁川やなみん言うところの「もぎとさん」すなわち、あのカントリー・ガールズ森戸知沙希さんです。 違いますか!おそらく図星でしょう。手元の資料を調べたところ小田ちゃんのビジュアルイメージの対極に位置するのが森戸ちゃんという事になっています。コレ間違いない。何と言っても今一番「アイドルオーラ」全開でこの世に生息しているのが森戸ちゃんなのです。もう何をやっても可愛らしい事になってしまうという「可愛さのスーパーリーチ状態」ですからね森戸ちゃんは。 マリオカートでスター取って点滅している時のアレみたいな状態じゃないですか。いやーお察しします、森戸ちぃちゃん可愛っすもんね~朝井先生。

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ドラマ「武道館」の中のアイドル

いくらなんでも決め付けはいけません。森戸ちゃんがアイドルオーラ全開でこの世に生息しているのが例え事実であったとしてもです。話を本題に戻しましょう。

アイドルと一括りにするには余りにも「アイドル」が多すぎる時代。高校野球で甲子園を目指してるやつも、地方予選でまず1勝する事が目標のやつも「高校球児」には変わりないわけで、第一志望が「筑波大学」であろうが「つくば国際大学」であろうが「受験生」に違いないのごとしです。つまり「アイドル」と一括りするには「アイドル」が多種多様な形態に増殖しすぎてとらえどころがなくなってしまっている。ハッキリ言って「名乗ったもん勝ち」みたいな状態ですからね今。そんな時代を評して「つんくボーイ氏」はBerryz工房の楽曲普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?の冒頭の歌詞でこのように言い放っています。

www.youtube.com

猫だって杓子だって

名刺を作れば即アイドル

世界でもまれに見る

特殊な職業Jアイドル

  この後に続く歌詞には「アイドル」である事の大変さと、それでも10年以上に渡って「アイドル」を続けてきたBerryz工房へのリスペクトとともに、プロデューサーの立場から長年アイドルを見守ってきた「つんくボーイ氏」なりのアイドル観みたいなものが散りばめられています。

簡単そうに見えちゃう職業

バイト感覚じゃ続かないから

土日も全部ささげてきたよ

好きなことだって仕事となれば別腹だよ

何も恋愛禁止がどうたらとか「アイドル」がらみで取り上げられがちなキャッチーな話題だけでなく、プロとして活動していく以上どうしても「普通の若者」にとって当たり前と思われる事すらままならなくなってしまうという状況も生まれてくる。

℃-uteがメジャーデビューで忙しくなった時期と重なり「修学旅行」に行けなかったという岡井千聖。「Berryz工房」のコンサートと日程が重なり泣く泣く第一志望だった大学の受験を諦めたという嗣永桃子。「仕事」と「学業」を両立出来るほど器用なタイプではないと悩んだ末に進学を諦めた真野恵里菜矢島舞美。これらは氷山の一角に過ぎないのでしょう。

そして一生に一度きりの「成人式」がハロコンとバッティングしてしまった「アンジュルム」のリーダー和田彩花は自身のBLOGで「成人式に行けなかったことは、、生涯、根に持ち続けます。笑」と事務所批判ギリギリアウトの勢いで思いの丈をぶちまけました。

その文面からは悔しさが(念入りVr.で)ほとばしっています。朝井氏が思い描くドラマ「武道館」の世界ならばアイドルを消費するヲタクたちから「アイドルは人間じゃないんだから当然だ!」なんて鬼のような反応が浴びせかけられるのでしょうが、実際はそんな事などありません。例えアンジュルム目当てでハロコンに来たような層であったとしても、むしろ「あやちょ」個人のファンならば尚の事「いやこれ…行かしたってやれよ…」と心を痛めたのではないでしょうか。しかし、それでも彼女はステージに立つことを選択しました。そしてまた後輩たちには同じ悔しさを味わってほしくないという思いをこのように書き綴っているのです。

このお仕事してると周りの方に、
成人式などの行事に行けない、それが普通だなんて、よく言われます。でも、それが普通だなんて、誰が決めたんだろう。って私は思います!それが普通っていう言葉通りに、私たちは、人生でもたった一回の、成人式を犠牲にするわけです。
人生一度きりなのにー。


私は、日々の自由を取り返したいわけではありません!それは、犠牲にしています。
でも、、人生たった一回の成人式まで犠牲にしなくていいと思うんです!


だから、この状況が少しでも変わればいいな。って思います。二期、三期のみんなが成人になって、成人式に出られるような環境になればいいな!


ただそれだけです(^^)

 

バイバイ

この「あやちょ」渾身のBLOGが読む人すべての心を動かし、アップフロント山﨑会長の心までをも動かし、来るべき12年後アンジュルム13期候補生大募集!!」と題されたホームページ上で若い頃の染髪や奇抜なヘアスタイルの影響からかスッカリ禿げ上がった「つんくボーイ氏」によるこんなメッセージが。

昔は、ハロコンくらいでアイドルは成人式に参加出来なかったんですよ(笑)今はそんなこと全然考えられませんね。

 と、なっているかどうかは仏様のみぞ知るところですが。

人生たった一回の成人式まで犠牲にして「ハロコン」のステージに立った和田彩花と「武道館」のステージに立つ事無く「NEXT YOU」を脱退した日高愛子にどのような違いがあったのか。誰の為に、何のために「アイドル」としてステージに立つのかという部分に決定的な違いがあると感じるのです。愛子は「謝罪会見」の冒頭で自分が何故「アイドル」になったのかを話しています。

小さい頃から歌って踊ることが大好きで「アイドル」になりました。

たくさんの人の前で歌ったり踊ったりするのは本当に楽しかった。

けど、段々してはいけない事が増えてきて

誰かの頭のなかの自分を生きてるような…、そんな気がしてきたんです。

それは私のなりたい私じゃなかった。

 で、この後にこう続くのですが、

そんな時私の事を好きって言ってくれる人の気持ちにだけ答えたいって思っちゃったんです。
ごめんなさい、武道館のステージに立つ前に私はアイドルではなくなってしまったみたいです。

 ドラマではその辺の描き方が甘すぎて分かりづらくなっているものの「大地」うんぬん以前の問題としてすでに愛子自身が「アイドル」である事の意味を見失っているんですね。自分が成りたかった「アイドル」ではなく、誰かが頭に思い描いた「アイドル」を演じさせられていると感じてしまっている。「アイドル」をやらされてるという思いに駆られている。じゃあ「誰」の頭の中に描かれた「アイドル」をやらされてるのか。

原作者の朝井氏は現代のアイドルが置かれている「ある種異常な現状」に警鐘を鳴らすべく「武道館」を書き上げたと訴えます。

アイドルを取り巻く価値観は動き続けていると感じます。握手会で会えるアイドルが最終形態ではなく、きっとこれからも変わっていく。その前に、ある種異常な現状を書きとめておきたいという気持ちはありました。それに、今後価値観が変わっていくなら、アイドル=人間だという価値観に辿り着いてほしいなと思うんです。今は消費者側がどんどんワガママになっていて、アイドルに対して、「かわいくいろ、若くいろ、だけど恋愛をするな」「たくさん歌え、踊れ、訓練しろ、ただ疲れても食べるな太るな」といった、人間には両立できない要求を突きつけているんですよ。「人間」にはできないだろう、だけどお前は「アイドル」だからできるよな? と。この本の大部分は、そうしたアイドルを消費する人たちに向けて書いているとも言えますね。

原作者から見た「アイドルの現状」ってのはこうらしいです。今アイドル界ではこんな「昭和の総会屋」みたいなヲタクが跋扈して「アイドル」を肉ラジコンのごとく操っている「リアル」が存在しているというのでしょうか。ほぼ「ハロプロ」周辺をチェックするだけで手一杯になっているとはいえ俺にはそうは見えません。「アイドル」がロボットなんて昭和時代の話でしょうに。

つまり「愛子」は人間として自分を見てくれない「アイドルファン」どもに「NO!」を突きつけたという事になる。そりゃあ夢だった「武道館」のステージに立っても客席を埋め尽くすほぼ全員が「自分を人間として見てくれていない」という朝井理論に基いた「アイドルを消費する」だけの連中ばかりなら、そんな周り敵だらけのステージにわざわざ立つ馬鹿いないってーのと。こういうことになっちゃう。

「あやちょ」が言うように「日々の自由を犠牲にして」までも、それでも立ちたいと思うステージってのは、そのステージを見守る者たちが「敵」ではなく「味方」だからこそ成立するもんなんじゃないでしょうか。

つんくボーイは「普通、アイドル10年やってられないでしょ!?」の歌詞の中で「アイドル」であることの大変さを「アイドル」視点から割りと自嘲気味に描いているわけですが、それでもなお「アイドル」としてステージに立ち続けられたのは何故なのか?という部分についてはこんな風に解釈しています。

それでもやっぱ歌えば官軍

これでよかったと感極まって涙しちゃう

やっぱり アイドル I love it ! 

だからこそこうなのだと。

土日も全部ささげてきたよ

好きなことだって仕事となれば別腹だよ

 それでも アイドル I love it !

 「愛子」のように「歌って踊ることが大好き」だった者たちがいつの日か「好きなことだって仕事となれば別腹だよ」という壁にぶち当たって、そこで思い悩み選択を迫られる。いくら人気や才能に恵まれていようとも「人並な普通の青春」に価値を見出して「アイドル」である事をアッサリ辞めてしまう者だっている。それを止める権利など誰にもありません。そして、その選択が間違っているとも思いません。

むしろ「人並な普通の青春」に背を向けてまでステージに立とうとする者たちに対してリスペクトこそすれ「誰かにやらされている」なんて発想が起こるわけがありません。あんな「つばきファクトリー」の山岸理子みたいな一見おっとりとした大人しそうな、いかにも誰かに無理やりアイドルをやらされてそうな子が、実際は内なる闘志メラメラで自ら茨の道を選択するような「変わり者」だという所に「りこりこヲタ」は感動し興奮するんでしょうよ。このファンが上から目線で言いたい放題で、自分の意志を持たせてもらえない「アイドルが可哀想」というドラマ「武道館」における「アイドル観」がどこから生まれてしまったのかという所に逆に興味が湧く展開です。

 つんくボーイは「めざましテレビ」の取材でドラマ「武道館」で描かれているアイドルの世界は本当に「リアル」なのかという軽部さんからの質問に対してこう答えています。

あのリアルなんですけど、かなりデフォルメされてるかなぁ

台湾で食べる和食屋さんみたいな

何がしかの違和感を残すという意味において「つんく」も上手いこと例えているわけですが、ネット時代の「アイドル」をネットによる情報に基いてアレコレ考察しすぎたがゆえに生まれちゃったもうひとつのアイドルみたいな。実際に和食を食ったことがない外国のシェフがネットによる情報だけで作っちゃった和食みたいな。

ドラマ「武道館」でも度々登場した例の「名無し募集中。。。」によるネットへの書込みってのは清濁入り混じったもので何が嘘で何が本当かなんて一見分からないような世界です。でも、そんな泥水の中に、ごくまれに砂金のごときキラリと光る書込みがあったりもする。そんな書込みを誰に指示されるわけでもなく拾い集めて「狼ナイスレス」と名づけられたフォルダに保存しているのですが、この武道館という物語を見ていてこんな書込みを思い出しました。

時期はドラマ「武道館」で架空のアイドルグループ「NEXT YOU」を演じた「Juice=Juice」が結成されてまだ間がない頃。狼板「Juice=Juice総合」スレッドでの何気ない会話。「ちゃんさん」とは勿論この3年後にドラマで主役「日高愛子」を演じることになる我らが宮本佳林ちゃんの事です。

809 :名無し募集中。。。:2013/03/25(月) 22:43:53.54 0
ちゃんさんはよく研修生辞めなかったと思うよ
努力が報われてよかった

813 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2013/03/25(月) 22:47:46.13 0
長い間研修生でやってきてやっとメジャーデビューして調子よく売れてたのにやめてしまうさきちぃとかゆうかりんもいるからなあ
とくにゆうかりんなんてハロプロの中でも愛理や鞘師と並んでトップクラスに推されてたのに
メジャーデビューできれば幸せってわけでもないんだろうな

 816 名前:名無し募集中。。。 投稿日:2013/03/25(月) 22:49:26.29 0
>>813
アイドルが自分の夢でしかない子は続かないんだと思うよ
アイドルがみんなの夢で自分がそれなんだって気付かないと

 まだまだ終わりそうもないので一旦ここで切ります。ちょっと長すぎるようにも思いますが色々言いたいことが湯水のごとく溢れてくるのです。だけどこれだけはわかってください!

ヲタクが変なふうに描かれている事にプンプンしているから書いているわけでは 無いということを。